着床前診断のこと
数日前に大きく取り上げられていますが現在着床前診断についての議論がされています。その発端は息子と同じ「網膜芽細胞腫」を抱える当事者の方からの提起です。
命の危険はないからと対象となる重篤な病気にはあたらないとされ、一旦は拒否されていたのですが再び議題に上がることになりました。
命の危険は•••実際はあります。医師達の努力によって確率が大幅に下がっただけで治療法と言えるものは確立していないです。
発見が遅れて亡くなってしまった子もいますし、転移も起こりえる。多分この病気が子供にあると分かった全員が恐れている
「三側性網膜芽細胞腫」
稀ですが脳腫瘍を併発してほぼ助からないと言われているものもあるんです。
分かって1年、片眼性とみられていても特に念入りに検査するのは再発・隠れ両眼性とこの三側性網膜芽細胞腫が出ないか見張るためです。
生後数日で見つかっても治療が数年に渡ることもある。全盲になることもある。治療による後遺症も様々。しかも遺伝子が関わってる。
それにどんなに早期発見でも何もなかったように直った子は多分殆どいないんじゃないでしょうか。
重篤でない、日常生活に支障が出ないと言い切ってしまえるのか。ものすごく複雑な病気です。
遺伝性だったら子供に50%の確率で遺伝してしまう。1/2って、なるかもっていう確率ではないです。(両眼・片眼、更に非遺伝性で遺伝しないタイプもあるのでそこも説明がややこしい...)
それをさせたくない
というのは痛いほど分かります。
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この話をするにあたってはまずこの「着床前診断」と「出生前診断」を混同しないことが大前提。2つは違うもの。「着床前診断」は<妊娠前>の話。
今は重篤な遺伝子疾患が伝わらないために、また繰り返す流産に対してされています。ここが間違った認識だと進みません。
あと良く出てくる「命の選別」という言葉は正しく美しい言葉のように思えるけど、同時に全ての思考をストップさせる魔のような言葉でもあると思うんです。意味は分かりますがこの言葉からは一旦抜け出し、議論されるべき。
産むべきではない、産むこと自体を考え直せ、なんてことを沢山見かけたけれど、そんなこと誰も言う権利なんてない。
この申請を出すにあたっても沢山葛藤して葛藤して家族でも散々話して悩んで決めたんだと思います。ここまで来るのだって生半可な決意ではできなかっただろうし(手続きな意味も含めて)
当事者にとって、家族にとってどれだけの想いがあるか...どうか簡単に言わないで欲しいです。
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私は最初反対ではなかったけど賛成でもありませんでした。
息子の病気が分かった当初は遺伝が関係してる病気なのに遺伝のことをきちんと教えてくれる場所も、人も居なかった。あったかもしれないけど連携していなかった。それはもうクエスチョンだらけだったんです。
また、上世代の親は本人に事実を殆ど伝えていなかったりもで。そもそも医師からも聞かされてもなかったのかもしれませんが。当人も結婚や出産があって初めて分かったというような話も聞きました。
当事者、親達がまず理解してない。理解できる環境がなくて知識がないままで進めても誤解を生むばかりだから、まず正しく理解するための環境整備の方が先だろう、と考えていました。
でも最近やっと遺伝カウンセリングだったり、該当遺伝子検査だったり、勉強できる場だったりそういう環境が身近になってきたんです。今回申請された方も含めいろんな方の尽力もあります。
(ちなみに欧米では網膜芽細胞腫の着床前診断も、遺伝カウンセリングも既にだいぶ前からされていることだそうです。議論も整備もめちゃくちゃ遅れているんですよ)
生まれてからも何が起きるか分からないし、網膜芽細胞腫の発症を防げたとしても他の病気を持って生まれて来る可能性もある。それはまた別の話で。
そして病気を持って生まれた子の存在や人生を否定してる訳でもない。
ただただこの病気の遺伝の連鎖を断てるような技術があるなら選択できる方がいい。もうそれは心から思います。
本人がそれを望む、望まないもあっていい。一本に収束する問題でもない。それも含めて少なくとも今闘病してる子供達が将来「選択」できるようになっていて欲しいです。
その選択肢がある、ないが大きいんです。
こっちも洗えたらいいのに
今日、左の義眼ではない方に
多分ゴミが入ってしまったのか、ものすごく痒かったらしく腫れるほど擦ってしまっていました。
仕事でおばあちゃんにみてもらっていてそれは電話で聞いて、大事な見える目なので何かあれば病院、どこに相談など色々考えていたのですが
「取って洗えたらいいのになぁ」
と言ってるという。
!!!
その発想!!
そうか、そうなんだ
そういう感覚があるのか、今そういう感じなのかという発見、違和感があったら義眼の方は洗えるもんね...
(私は当事者ではないのでどうしてもそういう感覚は分からないんです。もどかしい 言葉をやり取りし始めて気づくことがすごくある)
その取れなくて見えてる目は本当に大切にして。なんとかしなければっという色々感情がぐるぐるした一瞬でした。
目は今は落ち着き、病院にはいかなくても大丈夫そう...色々、診察してもらうか様子を見るか選択肢を考えつつ見守っています。
息子らしい表現であったし、
色々今どんな風に感じているのかなぁ。
義眼側にトラブルがあった時は紳士のようにしゅっと手を添えて隠して対応してます。
これは私は教えていなくて、自分で考えてそうし始めてて。
その所作がとても美しく、はじめて見た時自分で色々考えて自分で作った動きなのかなとぐっときてしまいました。
青天の霹靂と立っている場所
主治医から電話。MRIに何か、義眼側に以前にはないものが写っている と連絡で本当に「青天の霹靂」という言葉そのものでした。
手術をした方だから早めにもう一度診察をした方がいいと。
頭がキュッとなって体が一気にすーっと冷えていって。5年経って自分自身油断してた気持ちもあったと思います。
結果から言うと再発転移は考えにくい。悪いものではなさそうだけど何なのか分からない。でも腫瘍の組織構成ではないし(袋が出来ていて何か液体が入っている)経過をみていく感じで大丈夫そう。ということでした。
でも何なのかは分からないまま。
中の液体が何なのか、どうやって出来たのかも結局画像だけでは分からない。
詳しく調べようとしたら全身麻酔で切開、義眼も今まで通り使えるかどうかも。手術によって義眼台露出しやすくなってしまうかも。それはリスクが高すぎる。
電話をもらってから本当に本当に怖かった。
再発だったら日常はあっという間に変わってしまう。
再発でなくても手術が必要になったら...義眼台を出すことになったら...また痛い想いをさせないといけないかもしれない...今のこの子の顔はもうサヨナラかもしれない。楽しみにしている夏の約束も、小学校だってしばらく通えなくなるかもしれない。
診察までにあらゆることを考えてしまい、眠れない日々でした。
MRIのスパンがまた半年で逆戻りですが、とりあえずだけど転移再発の可能性は低いということで本当によかった。
MRIを5年経っても受けることは病院にもよります(受けていない、という方も結構います)うちは義眼床と義眼台(ずれてる)の状態を見るために、坊には必要だと色々話しをしてお願いしています。
見えないものも見えるので、いいのか悪いのか..今回みたいに早期発見にはなるから有り難いですが、いつも怖いです。
何のタイミングかそんな気持ちがあふれた今日「あさイチ」で希少がん、網膜芽細胞腫が取り上げられていました。
映像に出ていた子は9歳。この病気の発症年齢としては珍しい。あるんだなぁ...大きくなってからだと色々分かるからつらいなぁ
(あと、がんセンターってこうやって診察するのかぁと、地方で全てやっているのでそんな所も注目してしまった)
答えの難しさ。なんでもない日常の大切さを改めて感じた 長い日々でした。
まもりがめの会 関西(大阪)のお知らせ
小学生って忙しい・・・
学校、学童、習い事と考えてみると小学生多忙です(多忙にさせているのかもしれませんが)
参観日があんなに早くあるなんて思わなかった(既に2回目)家庭訪問、PTAと盛りだくさん
「子供は時間が流れるのが遅いんだって、大人は早いんだって」と息子。
図鑑で書いてたそうですが、本当にそうなのかも。
そんな中まわりのサポートもあって目のトラブルは殆どありません。
担任の先生もとても信頼できる方だったので本人も楽しく学校に通っています。
プールもはじまりましたが、元々ゴーグル装着OKとなっていたので問題もなく。ゴーグルOKもそうなんですが最近は様々な角度から事前にサポートがあったりして自分の子供時代から変わっていることも色々ありました。小学校、色々問題がニュースになったりもしてますが確実に良い方向に変わっていることもあるなと思います。
このまま行って欲しいなぁ
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8/4に関西(大阪)でまもりがめの会を開催します。
会場につきましてはお申し込みいただいた方にお知らせいたしますが、アクセス良いところです。
お子様連れでも全然大丈夫ですのでなかなか東京には行けない・・・という方はぜひご参加ください。
義眼について悩みを話したり、質問したり、相談したり直接話せる機会です。
はじめての方は緊張するかもしれませんが同じ悩みをもったりしている方々です。
安心してご参加くださいね。
2019年8月4日(日)
13:30~17:30
〇場所
大阪(お問い合わせいただいた方にお伝えいたします お子様連れでも大丈夫です!)
〇参加対象者
義眼使用者本人、義眼使用者の親、親のみの参加OK!
〇参加費は無料です
〇その他
ちょっとした軽食を用意しようと思いますが、お子様連れの方はお子様の好きなお菓子やジュースなどを持ってきてもらってもかまいません。
◇参加申し込みについて◇
①参加人数
②参加者全員のお名前
③義眼を使っている方のお名前と経緯(はじめての方のみ)
③会で話したいこと、聞いてみたいこと
以上を添えて、まもりがめの会メールアドレス mamorigamenokai@gmail.com にご連絡ください
また、おやつなどちょっとした軽食も用意しようと思いますので、アレルギーなどがある方はそれについてもメールに記載お願いします
〇申し込み締め切り
2019年7月28日(日)
※定員に達し次第申し込みを締め切らせていただきます。
不明な点などありましたら、まもりがめの会メールにお問い合わせください。
皆さまの参加お待ちしています
小学校入学
先日無事に小学校入学しました。
息子が一年生だなんて・・・信じられないなぁ。
「ただいま〜」と翌日自分で帰宅してきた時はちょっと感動してしまいました!(もちろん集団で帰っています)
小学校入学にあたってやったことをメモしておきます
◎事前に校長先生と教頭先生と面談
お時間を頂き、義眼や片目についてご理解をいただくと共に、色々お話をしました。書面にしてお渡ししています。注意点や、生活の上で出てくるかもしれない問題点など。
◎入学式後保健室の先生とお話
こちらも義眼や片目のことについて理解をいただくと共に、実際に外してみてもらいました。息子にも何かあった時には保健室にいくように、と伝えています
◎ケアセットを預ける
保育園と同じで、スポイト、目薬、アイパッチなどを保健室に置かせてもらいました。
◎同級生には伝えていません。
担任の先生には多分家庭訪問でお話すると思います。
あと、学童。公立の学童(学校内ではなく、場所は離れています)が100人超えの大所帯+外遊び重視+よく言えば自主性に任せるところで悪く言えば放置。息子の性格と完全に逆・・・・完全にダメなパターン。お友達も多くて一緒には良いんだけど、多すぎは苦手で黙々と何かをしたいタイプ。
色々考えたのですが近くにあった民間学童を利用することにしました。ちょっとお金はかかるのですが、まだリーズナブルな方で夏休みも含め保育園代を移行する感じに納まる、宿題もきっちりできる、アクティビティも充実、など良い感じでした。
少人数だし年齢が上がって力も強くなるので義眼であることを話した方がいいとのスタッフからの意見で始まってから子供達に話してもらっています。こちらもケアセットを預けてあります。
今の所問題なく、どちらも楽しく通っていてホッ。
が、新しい環境、毎日の時間配分、生活の変更で親の方が頭がいっぱいいっぱい!!まだついていけてない感じです!
卒園の日
保育園の卒園を迎えました。
小規模園から大規模園への転園を経て2回目の卒園式。
アットホームなのんびりとした園から、人数もかなり多く毎日の遊びも多彩な園になって正直心配だったけれど、それでもどこか安心があったのは提携の園での転園で、担任も一緒に持ち上がってくれたことででした。
息子への配慮が大きかったのではとも思うけれど
転園による精神的な心配も少しあったので本当に心強くて感謝しました。
目のことに加えて
身体的な成長がゆっくりで。時々周りのスピードについていけないこともあったけれど、息子は生来のマイペースさと根気強さと頑固さで時間をかけながらも追いついて。そしてなにより担任をはじめ、周りの保育士の方々が息子のペースや性格を尊重してくださり、同じ歩みで進めてくれました。
5歳くらいになってから驚くほど積極的に、そして感情表現が豊かになり、苦手なものにも立ち向かう強さを得たこと。
笑顔が一層増えてお調子者になったことも。園のおかげだと思います。
義眼が取れてしまったこともあったけれど
変わらず、いや変わったのかもしれないけれど、どの子もずっと息子のそのままをそれぞれ受け止めてくれました。
保育園ってなんだかユートピアのようで
あたたかく緩やかで、自由で、豊かで何ものにも縛られない感じでした。この年齢にしかないまっすぐで美しい世界。
この先は楽しみではありますが、このキラキラした時間が終わってしまうのが寂しいです。
病室の悲しい日から5年。
こんなに笑顔で
沢山のお友達に囲まれて卒園できる日が来るなんて想像できなかったな。
沢山悩んだりもしたけれど、それ以上に幸せでどれもこれも大切な日々。
卒園おめでとう。
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今病気が分かったり、義眼を使うことになったりして入園が不安なお父さん、お母さんへ。
心配も、悩みも、想像していることを遠く超えて
子供は嬉しいこと、幸せなことを自分で掴んでいきます。きっと大丈夫です。
まもりがめの会 旅するお話会
小児の義眼の会の運営に携わっているのですが
先日あった関東の会に参加してきました。
私が代表とこの会を作ろうと思ったきっかけの一つに
「垣根を無くすこと」があります。
垣根。
小児ガンのひとつである網膜芽細胞腫は家族の会があって、少ないとはいえ義眼の情報がまだあります。
でも小児期に同じ義眼が必要となる「無眼球症」「小眼球症」「PHPV」他・・・会がないということを知りました。それらの疾患が由来の義眼の子供や親はどこにいったらいいのか。
だから
疾患でくくらない
拠点に縛られず、必要な人がどこにいても情報が得られるように
というのが芯にあります。
今回本当に沢山の方が参加してくださって、子供もわいわい。そんな風になったらいいな、というものが少しずつ実現してきていて嬉しかったです。
出た話についてはまとめて後日掲載していきますので、読んでいただけたら嬉しいです。
義眼が必要なお子さん、親、そして当事者の方もタイミングが合えば是非ご参加くださいね。参加できなくてもレポートは読めるように掲載していきます。(由来の疾患は問いませんし、両眼、片眼も問いません。)
一人で悩まずみんなで解決、できたらいいよね。
代表も最後言ってたけれど、参加している人はみんな味方。
だからここなら泣いてもいい。遠慮はなしでいいんです。
そんな場所が今までなくて、やっとできたんです。