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うみをすすむ

0歳10ヶ月、網膜芽細胞腫(レティノブラストーマ)という目の小児がんで右目を摘出した息子との日々のこと。病気と向き合う記録。

網膜芽細胞腫をみつけるには

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網膜芽細胞腫は0歳~未就学5歳くらいまでに発生する目のがん(小児がん)です。
まだはっきり異変を口にできない本当に幼い時期に発生するため、周囲の大人が異変に気付くしかありません。

稀少がん(15000人に1人という確率、日本で年間80人ほど)のため、あまり知られていないのが現状ですが、気付かず発見が遅れると命の危険があります。

どうかこんな病気があるということを知っていただき、お子さんや、周りの子供たちのことを注意してみてあげてください。
6~8か月くらいの母子手帳にも「目が光りませんか?」という確認の項目があると思いますが、この病気のことです。(もう少し大きく書いて頂きたいんですが、現状は分かりづらい小さな注意としてしか書かれていません)

異変のポイントがいくつかありますので心にとめておいて頂けたら。

(2016.9 最近カメラでこの病気を発見する方法があるとして、様々な媒体で紹介されるようになり知る人が増えてきましたが、誤解されているところも多いのでこのページを整理し直しました。多くの人に正しく理解していただきたいと思っていますのでご指摘などありましたらメール頂けましたら幸いです)

異変を見つけるには

写真で確認する

網膜芽細胞腫「白色瞳孔」という特徴的な症状を示すことが多く70%程度と言われています。(私の子供も発見のきっかけは白色瞳孔です。)
瞳孔(目の真ん中)が白かったり、透明だったり、黄色がかったりという見え方をします。キャッツアイと良く言われますが猫の目に似ています。
白色瞳孔は網膜芽細胞腫をはじめいくつかの特定の病気でしか現れません。瞳孔の色が違うということはそうそうある事ではないんです。

この白色瞳孔を見つけるのに「フラッシュ付で写真を撮る」という方法があります。

最近はフラッシュを使わないことも多いですが、フラッシュを使うことで腫瘍があれば瞳孔の部分が白く、または黄色っぽく写ります
瞳孔が広がっていた方がいいので暗がりの方が写りやすいかもしれません。

よく赤目になったりしますがこれは正常。それが白かったり黄色っぽかったりすると要注意です。
過去の写真を見返して何枚も同じような写真があった場合も要注意です。


  • ただ、最近のカメラには赤目防止機能などが付いています。その機能がオンになっていると正常でも白く写ることがあります。撮影角度でも白くなったりもします。写真での白色瞳孔チェックはあくまで判断の材料の一つとして考えてください。白く写ったからといって必ずしも異常がある訳ではありません。
  • 気になるといって至近距離でフラッシュ付きで何度も撮影するのはやめましょう。決して子供の目に良いことではありません。診察の為には2、3枚で十分です。
  • 大人の方で瞳孔が白く写りこの病気を気にする方がいらっしゃいますが、この病気は「小児がん」です。大人の場合は心配はしなくて良いと思われます。未分化の網膜細胞から生まれるため、大人での発生はほぼ考えられません。新生児から未就学児が多く、小学校低学年までは数は少なくなりますが稀にあります。(知っている方でも7歳という子が居ました)


▼こちらのサイトに白色瞳孔について、白色瞳孔の写真はどう写るのかとても分かりやすく掲載されています。(2014.11追記)
記録(9) 「白色瞳孔」|鉄砲玉 帰り道を探そうよ

▼海外の網膜芽細胞腫啓発動画。全編英語ですが、白色瞳孔の様子がよくわかります。スマートフォンの写真撮影で白色瞳孔を確認する方法も。(2014.12追記)




角度を変えて目を見る

「白色瞳孔」はフラッシュ付の写真だけで見られるものではありません。
乳児であれば授乳している時、抱っこをしている時。太陽光やライトの入り方で瞳孔が時折白かったり、透明だったり、黄色だったりに見えます。
ガラスのような感じです。

ただ、いつも見えるという訳ではなく、腫瘍の場所、光の入り方で時々見えるのです。

うちの子供の発見の最初は授乳中です。
ただ私は知識がなかったため、色素が薄いのかな?という程度にしか思わず発見が遅れました。
覗き込むと時折キラキラと透明に見え、よく見ると眼内の血管なども透けて見えました。
それでもいつも見えるという事はなく、診断を頂いた病院でも看護師さんが「見た感じでは分からないのにね…」と言っていたくらいです。


瞳孔の色がこのように違った色に見える事は異常です。
写真と合わせて肉眼で確認できた場合は即眼科へ行ってください。

白色瞳孔を示す他の病気

網膜芽細胞腫は命の危険があり、中でも一番重篤といえますが、他も軽くはありません。
気になったら眼科へ行って診察をしてもらってください。

  • 水晶体後線維増殖
  • 第1次硝子体過形成遺残
  • 脈絡膜欠損
  • コーツ病
  • 網膜異形成
  • 先天網膜
  • 転移性眼内炎
  • ぶどう膜炎
  • トキソカリア症
  • 硝子体出血

斜視

網膜芽細胞腫は網膜に腫瘍ができるため、視力が低下することが殆どです。発見時には実はほとんど視力がなかった。ということも多いのです。
うちの子供も発見時は網膜全剥離の状態で右視力は実は0でした。

家族によると斜視が気になっていたけれど子供には良くあることだから…と私に伝えなかったということでした。


視力がない為によく「斜視」も併発している場合が多いです。

斜視はよくある事だから…と先延ばしにせず、出来れば眼科へ相談へ行って欲しいと思います。
「斜視」と前述した「白色瞳孔の写真」「白色瞳孔が見える」が同時にあれば大きな異常の可能性が大きくなります。


なるべく早く眼科へ行ってください。



目を隠してみる

「白色瞳孔」の写真が撮れたり、何か異変を感じたら該当の目を隠してみてください。
視力が低下したり、なかったりすると嫌がりません。

乳幼児は特に「見えない」「見えにくい」ということを伝える事はできません。
生まれてから腫瘍があるという事も多いので、その場合視力がないことが当たり前になっていて、少し喋れるようになってもおかしいと思っていない可能性もあります。


網膜芽細胞腫でよく見られる症状

  • 瞳孔(目の黒い部分)が透けている 透明に見える ※白色瞳孔
  • 瞳孔が白、又は黄みがかった白に見える  ※白色瞳孔
  • 目が暗闇で光る  ※白色瞳孔
  • 目が物を追わない
  • 斜視がある(目が左右違う方向を向いている)
  • 瞳孔が開きっぱなし
  • 弱視 よく物にぶつかるなど (※歩けるようになったお子さん)
  • 目の異変を言う「見えにくい」「何か異物がある」など(※話せるようになったお子さん)


上記の症状に加えて以下の症状も併発していると眼外に浸潤している可能性があります。

  • 出血している
  • まぶたが腫れている

親族にこの病気の人がいる

網膜芽細胞腫は原因遺伝子がほぼ判明している小児がんです。
そして遺伝性と非遺伝性の2タイプがあります。
(これを調べることは可能ですが、現状簡単ではありません)
遺伝性の場合は低くはない確率で遺伝することが分かっています。

親族にこの病気の人が居ることが分かっている場合は、上記の症状に注意してください。


注意

  • 超初期の段階では腫瘍が小さく、外から異変に気付くことは難しいのが現状です。腫瘍が小さすぎる場合は白色瞳孔は現れませんし、視力もある場合も多いので斜視も出ません。でも超初期の段階で見つかれば一番良いのですが、白色瞳孔の段階で見つけることができても早期発見になります。(進行すれば転移してしまい脳腫瘍だったり他の箇所にも異変が表れてきます)。とにかく眼内で腫瘍がくいとめられることが重要です。
  • 小学生低学年など年齢が大きいお子さんが罹患する場合、白色瞳孔など網膜芽細胞腫の代表的な症状を持たない事例が見受けられます。目に何らかの異変があった場合、子供が見え方がおかしいなど言う場合は必ず眼科へ相談してください。
  • 予防法は残念ながらありません。何かをすれば予防できる、がん家系だからなりやすいというレベルのものではありません。原因遺伝子がほぼ判明している珍しいがんで発生する子はしてしまいます。発生する鍵を持つ遺伝子は生まれる前から壊れてしまっており、条件が揃えば発生してしまうのです。だからこそ早期発見が重要なのです。
  • 早期発見で命が助かる可能性は90%を超えてきていています。ただ早期発見であって命が助かっても網膜、眼内に腫瘍という病気なので治療過程で視力の低下・摘出・失明など目に何らかのダメージがあることは覚悟しなければなりません。




異変を見つけたら

 小児科ではなく眼科へ

子どもの体調に異変があるとまず小児科と考えると思うのですが、必ず「眼科」へ行ってください。小児科の先生は知識としてご存じですが、この病気の判別には「眼底検査」という眼科でしかできない検査をまず行わなければなりません。小児科では眼底検査は出来ないのです。


眼底検査で何らかの異常があれば詳細な検査を勧められます。
最寄りの眼科であれば大きな病院への紹介状。大きな病院の場合は確定診断のためのCTなどの検査です。


眼底検査をして異常がなければひとまずは大丈夫かと思います。
一つの病院で納得がいかない場合はセカンドオピニオンとして別の病院で見てもらうのも良いと思います。(複数行って同じ診断であればひとまずは安心かと)

眼底検査自体は難しい検査ではありませんので、何もなくてもやっぱり気になるようでしたら定期的に診察に行くことをお勧めします。



眼底検査とは

眼底検査とは文字通り目の底を覗く検査です。
瞳孔を開く目薬をして、普段は見えない目の奥を検査します。
どこの眼科でもできるはずです。

最寄りの眼科での眼底検査はそこまで隅々までは見られないとは思いますが異変があるかどうか、何かあるかどうかの確認はできます。

※以前ここでレポートを書いたものは病気が発覚後の総合病院での詳細眼底検査の様子です。(隅から隅まで隈なく見る検査です)通常の眼底検査は子どもでも座って(または膝に座らせて、抱っこして)できると思います。
marmom.hatenablog.com


眼科へ行って伝えること
  • 「目が光って見えるんです」←これは代表的な兆候なのでお医者さんは分かると思います。
  • 「白色瞳孔だと思うんです」
  • 「癌の疑いはありませんか?」


網膜芽細胞腫の心配をしているので目の奥を見て欲しい、「眼底検査」をして欲しいということをどうか伝えてください。
例えば斜視だけで行くと検査をしてもらえない可能性もあります。
実際、眼底検査をされず見逃されてしまって進行してしまったという方のお話しも聞きました。


そんな後悔は悲しすぎますし、取返しがつきません。

どうかどうか後悔をしないように。


どの眼科にかかればよいのか

まずは最寄りの眼科で良いと思います。

総合病院は紹介状がなければ最初の手続きも大変です。何より多くの人が診察に訪れているためにかなりの時間がかかります。小さな子供と一緒に待つのは大変なんです。
まずは最寄りの眼科で眼底検査を受け、異常のあるないをチェックしてから。もしも疑いがあれば診断・診察が可能な最寄りの大きな病院の紹介状をすぐにでも書いてくれるはずです。
紹介状があればスムーズにその先の検査を受けることができます。


「地域の眼科→(紹介状)→大きな病院」が結果的に早いという印象です。


それでも白色瞳孔、斜視、片目が見えていない、出血しているなど、症状が複数併発している場合や症状が顕著な場合、確信がある場合は、即総合病院・大学病院など大きな病院を受診することも考えて良いと思います。


診断が確実にできると思われる病院は以下です。



一番は親の勘です

いつもと違う。何かおかしい。

この病気に限ったことではありませんが、一番は親の勘です。

迷わず病院へ。そして病院で遠慮することはありません。
不安は全て口にしてください。
その言葉がきっかけで何かが見つかることもあります。







さいごに

この病気を「治療」できる、しっかり診ることのできる先生が居る病院は数えるほどしかありません。

命が助かる確率は格段に上がってきてはいるけれど未だ眼球摘出が有効な治療法だという現実、そして眼球温存という選択肢も出てきているけれど、難しい側面もあり難病の扱いです。
命が助かった後も考える事が沢山ある。それが難病たるところでもあります。


発生頻度も多くありません。でも15000人に1人、年間80人という数字。
多くはありませんが決して極端に少なくはないんです。



お医者さんの間で認知度はある病気なので地域の眼科、病院で「何か異常がある」ということは確認することはできます。おかしいな、と思ったらとにかくすぐに受診をして欲しい。
何もなければそれでいいんです。これは命を脅かす本当に危険な病気です。


網膜芽細胞腫は遺伝子の異常で起こる為予防方法がありません。だからこそ早期発見が重要になってきます。


幸いというべきか、他の体の部位と少し異なり、目の固い膜によって腫瘍が外に出るのを押さえてもくれるので早期発見ができれば治療も少なくて済む可能性が高くなります。


でも同時に目は血管が多くあり視神経は脳へ繋がっています。発見が遅れて一度目の外へ出てしまえば転移し、命の危険が大きくなり全身的な治療が長く続くことになります。

小児がんの中でも命の助かる割合が高くなってきていますが、あくまで早期発見できた場合。眼外に転移があれば確率は下がります。脳転移が起こった場合には1割も助からないそうです。



乳幼児検診では斜視の簡単なチェック程度で詳細な眼の検査が現在残念ながらありません(しているところもあるかもしれませんが、少なくとも私の住む地域ではありませんでした。)
新生児のスクリーニングで発見されなければその後見落とされる可能性が大きいのです。

そして話すことができず、視力がまだ完全ではない年齢(0歳〜3歳くらいまでが一番多い)で罹患することが多いので親をはじめとした周りの大人が異変に気付くことが非常に大切になってきます。



目の病気はあまり知られていませんが見つかれば大きな病気という事も多い部分です。
こんな病気があるという事を知っているだけでも早期発見に繋がります。どうか心の片隅にでも留めていただけたらと思います。