うみをすすむ

0歳10ヶ月、網膜芽細胞腫(レティノブラストーマ)という目の小児がんで右目を摘出した息子との日々のこと。病気と向き合う記録。

網膜芽細胞腫と診断されたら

診断されてからどうなるんだろう...

腫瘍の位置や大きさ、両眼なのか片眼なのか状況は様々なので違ってはきますがとにかくあまり考える時間はありません。

私達も診断から翌日に検査。その二日後には摘出でした。


時間がない中で、とても不安です。

何か良く分からないまま診察、治療に入っていきます。
分からないまま新しい疑問が出てきます。

自分の記録のためでもありますが、あの日あの時に調べるのがとにかく大変だったから。

治療前の時間がない中で読めて、右往左往少なく次に調べたいことにつなげられるものがあれば…

そんな風に少しでも役に立てばとずっとまとめたいなと思っていたことです。
忘れてしまわないうちに大まかですが流れを記録+調べたこと、聞いたことなども合わせて書いておこうと思います。


※経験をしたことや、お話しを聞いたこと、調べたことに基づいて書いています。間違いなどありましたらご指摘ください。
※病院によって違うところもあると思います。

確定診断には

眼底検査を行った後CTを撮影します。
網膜芽細胞腫の特徴である<石灰化>という状態が写るとほぼ間違いなくこの病気と診断されます。

石灰化が見られず即判断ができない場合、稀な症例(就学後の子供が多い?)の場合は追加の検査をしたり国立がんセンターへ意見を求めたりとなるようです。
この病気の最終オピニオンは国立がん研究センターで一択です。


※この確定診断の為にはCTを撮影しますが、その後の経過観察はMRIなどでの確認になります。
CTはごくごく少なく人体に影響がないと言われる量ではありますがX線なので被ばくします。PET検査もそうです。遺伝性の場合特に2次がんが発生する可能性があるので、この病気はCTをなるべく避ける傾向があります(でも最初の確定診断、石灰化の確認にはどうしても必要なのですよね。)

MRIX線を使わない磁気共鳴画像という方法での撮影でCTとは原理が違いますので、そういった心配はありません。なので経過観察に使います。


※確定診断された場合は速やかに小児慢性特定疾患治療研究事業への申請を行います。検査などで大変ですがなるべく早く申請を行います。
小児慢性特定疾患治療研究事業は小児がんなど特定の疾患(難病)は治療が長く続いて治療費が高額になるので自己負担分を補助するものです。治療法の確立も目的としています。
医療費 - 網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会「すくすく」
小児慢性特定疾病情報センター - 小児慢性特定疾病の医療費助成について




確定診断後の検査

更に検査を重ねます。血液検査、骨シンチグラフィー、骨髄穿刺、エコーなど。多岐にわたります。
大人でも受けないような量の検査になります。

主に転移の有無を調べる為です。


検査後の方針決定

大きく3つを総合して方針が決定されると思います。

検査後の時点での選択肢は大きく2択しかありません。
<眼球摘出>か<眼球温存治療>か

温存の可能性がある場合は何パーセントか、ということが伝えられます。
その場合は親がどちらを選択するかを決めなければなりません。


転移はあるのか

一番大きなポイントです。
脳転移、他部転移があるかどうか

この時点で転移が確認された場合は目のことにプラスして転移に対する治療が検討されます。


両眼なのか、片眼なのか

今の段階で片眼だけに腫瘍が発生しているのか、両眼に発生しているのか。

  • 片眼の場合…腫瘍の状態により<眼球摘出>か<眼球温存>を検討
  • 両眼の場合…両眼の<眼球温存>をするか、腫瘍が大きい方を<眼球摘出>し、小さい方を<眼球温存>するか。

両眼の腫瘍が大きくなりすぎている場合は両眼摘出の可能性もあります。



腫瘍はどういう状態なのか

国際分類というものがあり、他の癌の「ステージ」に近いです。
私達はこれを結局聞かなかったのですが、CTの結果でみるとBでありEの状態だったのかな?
腫瘍は3mm以上で視神経近傍。網膜全剥離で視力なしと思われる。という状態でした。

ステージ違うのは、目の外に進行しているのかどうか、本当のところは摘出をしなければ分からないということ(生検ができないため)だと思います。
視神経に限りなく近ければ転移の可能性が大きくなりますし、黄斑部(網膜の中心部 光を感じる)にあれば視力に影響があり、難しい位置でもあります。播種の場合はその状態でも変わってきます。検査の総合判断で腫瘍の状態をみるしかないのです。


A 3mm以下の網膜腫瘍
網膜に限局し、かつ中心小窩(※)から3mm以上、視神経円板(※)から1.5mm以上離れている、小さな腫瘍(直径3mm未満)
(※網膜の黄斑部の中心に位置する、高精細な中心視野での視覚に寄与する重要な領域を中心窩と言い、その中心部が中心小窩です。視神経円板は視神経乳頭とも呼ばれ、視神経が網膜に入る点のことです。)
B 3mm以上、黄班部、視神経近傍の網膜腫瘍
網膜内のどこかに限局する3mm以上の腫瘍
C 限局性播種(硝子体・網膜下)
局所的な硝子体播種または網膜下播種またはその両方が存在する(腫瘍からの位置が6mm未満)硝子体や網膜下の領域に腫瘍の集まりや塊がない
D びまん性**播種(硝子体・網膜下)
(腫瘍からの位置が6mm未満)腫瘍から6mm以上の位置で網膜下液を認める
E 摘出を要する進行例
下記のような視力喪失の存在あるいは潜在的な可能性が1つ以上ある状態。

  • 前方にある腫瘍
  • 毛様体の中または毛様体上の腫瘍
  • 血管新生緑内障
  • 腫瘍を覆い隠すような硝子体出血または著しい前房出血
  • 眼球癆(※)、または眼球癆になりかかった状態(※注:眼球癆とは、重篤な疾患、炎症、損傷により、眼が萎縮して機能を失った状態のことです。)
  • 眼窩蜂巣炎などの存在
*播種:発生部位から腫瘍がこぼれ落ちて、散らばった状態

**びまん性:腫瘍が広範囲に広がっている状態

参考:網膜芽細胞腫【小児がん情報サービス】 / 小児がん患者とご家族のために CureSearch » 網膜芽細胞腫の診断



生検はできないの?

通常、がんの疑いがある場合は患部の一部を取って,顕微鏡などで調べる検査「生検」を行うそうですが、目はできません。
目に生検を行うと、散らばって転移を招いてしまう可能性が高いからです。

なので、摘出して病理検査をする以外では、眼底検査やMRIで確認をしていくしかありません。

がんが今どうなっているのか。というのが本当のところ分からないというのが難しいところなのです。




眼球摘出

検査の結果、眼球摘出となった場合は手術です。
すぐに日程が調整され、手術が組まれます。
眼球摘出の手術は多くの病院で可能だそうですが、義眼台のようなものを入れる場合はできる病院は限られます。

手術時間は大体2時間程度。早ければ退院は2日ほどで。
大体1ヶ月~2ヶ月後くらいで義眼を装着することができます。

摘出した眼球を病理検査(細胞レベルの詳細な検査 結果は1~2週間後)にかけ、眼球外に浸潤がなければ通院による経過観察へ。


病理検査で浸潤が認められたら…
浸潤(目の膜を細胞レベルで超えているかどうか、視神経に食い込んでいるか)がほんの少しでもあれば、転移を防ぐため抗がん剤を使った予防的化学療法が検討されます。つまり体への転移は現在は確認されないけれど、可能性が否定できないから予防の為に抗がん剤で可能性を叩いておく、ということです。
(浸潤がある場合は20~40%の割合で眼球外に再発・転移と言われているとか。 家族の会すくすくより)

判断の難しい微妙な浸潤の場合は複数オピニオンで検討されます。

予防的化学療法は比較的軽めの抗がん剤のようですが、副作用がない訳ではなく、入院もしながらの半年くらいの治療となります。

眼球摘出後は

摘出後は、数か月ごとの検診で、片眼の場合は残った目の方にも腫瘍が出てこないかをチェック、再発・転移がないかどうかもみていきます。
これを経過観察といいます。経過観察のスパンや項目は病院によって異なります。

術後1年は特に再発転移の可能性もまだ高いままで、片眼の場合は実は両眼性だったという可能性もあり、残った方の目も変化がないかチェックしていきます。診察に加えやMRI、血液検査などもあり、総合的に注視していきます。

術後5年が「寛解」と言われ、ひとまずがんの脅威が過ぎ去って一段落の時期と言われています。

リスク

  • 一生義眼となります。視神経も切ってしまうので少なくとも今の技術では元に戻すことができません。
  • 病理検査により予防的化学療法が必要になった場合は抗がん剤による弊害の可能性、将来的な二次がん(大きくなってから別の癌を誘発する)可能性が出てきます。

良いところ

  • 治療なしで摘出となった場合は目の周りの組織へのダメージは少なく、義眼は綺麗に入ります。
  • 癌を早く取り除くことができ、また病理検査により腫瘍の進行具合が明確になります。


義眼費用に関しては「家族の会すくすく」さんにまとめられています。
義眼費用 - 網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会「すくすく」

義眼屋さんは病院から紹介してもらえます。
義眼屋さん一覧





眼球温存治療

腫瘍の状況によって治療法は変わってきます。
腫瘍の大きさがある程度ある場合は抗がん剤で小さくしてから局所治療というピンポイントの治療に入ります。
抗がん剤は入院もしながら。局所治療は通いながら、経過を確認しながら、再発を繰り返すことも少なくないので長期間に渡る治療は覚悟しなければなりません。また温存治療が可能な病院はかなり限られています。

局所治療例

地方の病院で治療できることもありますが、国立がん研究センターでしかできない治療法もいくつかありますので、主治医と相談していくことになります。
詳しくは以下のサイトで。

家族の会すくすくは国立がん研究センターを拠点に活動していますので、温存治療に関しては一番詳しく分かると思います。月に一回「お話会」を開催していて悩みを相談できる時間を作ってくれています。

網膜芽細胞腫【小児がん情報サービス】
治療方法 - 網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会「すくすく」


入院のことについてなど
入院の工夫編|ちいのブログ
検査入院 準備|ちいのブログ




リスク

  • 眼内は生検(癌細胞を取って確認)ができません。MRIや眼底検査で予想するしかなく本当の進行具合は分からないまま癌が体にある状態が長く続くことになります。
  • 治療の過程で温存中の目のダメージが大きくなる可能性もあります。
  • 抗がん剤による副作用、二次がん(大きくなってから別の癌を誘発する)可能性があります。
  • 小児慢性特定疾病にあたるため医療費助成があり治療費の心配はそこまでありませんが、地方在住の場合滞在費が多くかかる場合があります。また両親共仕事をされている場合は調整も考えなければなりません。

治療中の補助に関しては「家族の会すくすく」さんにまとめられています。
医療費 - 網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会「すくすく」

治療中のお金の話-経験談より
お金のはなし。|ちいのブログ



良いところ

  • 眼球の温存ができれば、文字通り目を残してあげることができます。
  • 再生分野もかなり発展しているので、残った目の視野や視力に問題が残ったとしても将来的に治療できる可能性に繋げることができます。

その他

溢れる様々な情報から、より自然な治療方法を望んだり抗がん剤をしない選択もあるかもしれません。

ただ、この網膜芽細胞腫抗がん剤が効きやすいということは分かっています。

また遺伝しやすい、がん家系だから気を付けなければ…そういうレベルではなく生まれる前から該当遺伝子にエラーがあるために起こると解明されている、とても稀なタイプのものであることは考慮に入れるべきだと思います。


子どもの成長の様子、検査の結果、主治医のお話しなどを総合して最終的には親が決断するしかありません。




ちいのブログさんの記事のリンクをいくつかさせていただいています。
発覚当初、ほんの少ししかなかった経験談。その一つがこのブログでした。
ここを作ったきっかけでもあります。

私もとても参考にしていて、治療の様子や悩み、体験した人にしか分からないこと、そしてその時の気持ち…色々書かれています。
ちいちゃんは本当に沢山の経験をしてきているけれど、たくましく魅力的で、それに対するちいちゃんのお母さんのまっすぐで深い愛が詰まってるブログ。情報だけでなく私はいつも色々考えさせられ逆に力を貰ったりもしています。