うみをすすむ

0歳10ヶ月、網膜芽細胞腫(レティノブラストーマ)という目の小児がんで右目を摘出した息子との日々のこと。病気と向き合う記録。

10歳 義眼が入らなくなった② 手術の検討

<手術の検討>

本格的に義眼が入らなくなり手術の検討の話が具体的に出てくるようになって

最初に出たのは「義眼台の入れ替え」

 

一番最初の手術、眼球摘出時の段階から「義眼台の入れ替え」はあるかもしれない、という話は眼科、小児科共にあって頭の片隅で覚悟はしていました。(息子が行っている病院は小児科と眼科と別れていて、両方に診ていただき総合する形です。小児眼科という形のところもあります)


でもそれは18歳以降とか成長期がある程度済んだ想定で成長期真っ只中でやることはまったくの想定外。

 

<義眼台を入れ替えるってどういうことか?>
一旦入っている義眼台(ボール)を取り出して体の大きさにあったものを入れ直す。

言葉で書くとすごく単純っぽい!

んですよね。

ボールだし。

まあ樹脂ボールだし。

けれど、そんなに簡単ではないのです。

 


ボールは異物。

体にとっては排除すべき物質です。

なので当然定着しないこともあります。術後違和感に悩むこともあるし異物と認識されたら外に出てくる。これを露出といい露出すれば再手術、やり直しです。

 

体と親和性の高い物質を入れては?と思われるかもしれませんが元々の原因、網膜芽細胞腫は癌の一種、発症は5歳未満、赤ちゃん、幼児と呼ばれる時期の子が多い。成長の過程で異変があった場合に取り除けないといけない。

義眼台はあくまで発達をサポートするものなので体の組織と親和性が高過ぎて癒着しすぎてしまうとそれはそれで弊害があるのです。

 

そして入れ替えをするなら18歳くらいと言われたのは肉体的な成長がそのあたりで止まってくるからです。その年齢に達すると成長を考慮に入れることをしなくてよくなってきます。

 

今位置的には良くないけれど、うまく定着している義眼台を10歳の成長期で入れ直すということはせっかくの安定を捨てるということ。「露出」のリスクがまた上がるということ。

 

入れ直したからといって必ずしも良くなる保証も残念ながら ない、ということ。

 

 

 

こうなってくると義眼台がなかったら良かったんじゃないというくらい複雑ですが...

 

義眼台が入っていなくても義眼を正しく装着することで成長フォローはなされます。

でも入っていることでのサポート力は大きく、なければ成長を全て義眼に委ねることになる。

綺麗にはまってる時は義眼に動きも出ていました。(これは人によりますが)入れていただいたこと自体は後悔はしていません。

 

<安定しているもの(義眼台)の入れ直しが必要なの?>

他に何か手がないかというのをずっと考えていました。

 

義眼が入らないのはポケットがなくなってしまったから。

 

刺激によってできた肉芽たちを取り除き何らかの形でポケットを作ることができたら解決しないのか?

義眼師さんの意見からも総合してそういう想いが固まり診察に臨んだのですが

 

 

 

「異動になりました。引き継ぎますね」

 

 

 

ええええ こ、このタイミングでっ...

 

大学病院あるあるで、過去もよくあって、まあみなさん修行に出るんですが、それ自体はいいんですがこのタイミングで...!?

手術を検討する局面で新しい先生に引き継がれることになりました

 

つづく