うみをすすむ

0歳10ヶ月、網膜芽細胞腫(レティノブラストーマ)という目の小児がんで右目を摘出した息子との日々のこと。病気と向き合う記録。

義眼台のこと

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義眼台について聞かれることが多いのでまとめてみました。
前にも書いたことがあるのですが、一度いままでのことを一つにしたいなと思っていたのです。
<注意>
※義眼台の定義自体がよく分からないところがあるので、ここでは「眼球摘出後のスペースに入れるもの」という広義の意味でこの名称を使っています。(もあさんコメントありがとうございます)。医師の方が使用する「義眼台」の認識とは異なる場合があります。
網膜芽細胞腫の場合です。別の疾患だったり後天的な事故などの原因での義眼台挿入の場合は若干異なる場合があると思います。
※子供の場合です。大人の場合はまた異なってくると思います。
※あくまで経験と調べた範囲ですので、もし間違っているなどありましたらご指摘ください。

義眼台とは

義眼台は台と書きますがボール状のもの。
眼球摘出後に空いたスペースを埋めるように入れられます。結膜で包まれていて外からは包んだ結膜が見えるだけです。中身は見えません。
この上に義眼を入れます。(だから台と言うのかな)
「義眼」と聞いて想像する形、球形のがごろっと入っている。が実はこの義眼台に近いのかもしれません。
実際の義眼の方はこの義眼台にのせるので球形ではありません。




義眼台を入れることのできる病院

眼球摘出の手術は多くの病院でできるのですが、この義眼台を入れる手術が可能な病院は数えるくらいしかないようです。
つまり同時にできる病院はかなり少ない。位置を留めるのが難しいと聞いたので技術的にできるお医者さんも少ないのかもしれません。
あと日本で基本的には認可されていないという問題も。


今まで聞いた感じでは関西以西の方が多いのかなという印象。

義眼台は入れる人もいますが、一番患児が集まる国立がんセンターが基本的に入れない方針というのもあり入ってない方が多いようです。

うちはたまたま義眼台を入れる方針の病院だったようで、摘出と同時に義眼台を入れることに。
何故入れるところが少ないのかは「メリット/デメリット」の部分で。




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義眼台の素材

義眼台には、レジンやアクリルといったつるっとした樹脂のボールが主に使われます。
珊瑚やハイドロキシアパタイト、メドポール®といった多孔性(小さな穴があいてごつごつしている)といった素材も用いられることがあるそうですが
日本で現在入れない方向性のようです。

多孔性のものは組織と親和性が高いのですが、逆に言うと取りづらい。癒着をおこしやすい。
あと感染症の問題も。

網膜芽細胞腫の場合は再発、転移のこと、また初回手術がかなり幼いため、子供の成長の事を頭に入れておかなければなりません。
となると、取りづらい、というのはかなりのデメリットなのです。

○可動性義眼

可動性義眼は日本では残念ながら認可されていません。
関東に独自に開発している眼科さんがあるようですが…詳細は不明。
あと試験的に入れている方はいるとか。

残された筋肉を利用して、多孔性のボールを台に金属パーツを取りつけ挿入。義眼を動かすようです。
欧米などでは使用されている模様。(メドポール®が有名?)
あと韓国などは義眼についてちょっと進んでいるのかな?

多孔性であること、金属が炎症を起こしやすいこと。
露出の可能性が高めなこと。
意外と位置調整が難しいこと。
この病気の子にはちょっと問題が多そうで、現状リスクとメリットはかみあっていない状態かなと。

個人的にはもし将来的に大きくなって子供が望めば検討したいという気持ちです。



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義眼台のデメリット

まずはデメリットから。
大きく2つだなと思っています。

・異変がわかりにくい
義眼台が入る分、後ろのことは見えません。
どうなってるか確認するにはMRIなど画像診断に頼るしかありません。
もし後ろで再発・転移が起こっていたら手術で取ることになります。

・露出の可能性がある
異物を入れるので、拒否反応を起こしたりすれば出てきてしまう。
出てきたら再手術か、入れるのを諦めるか。


万が一の可能性がある
その場合の再手術、治療は子供への負担が大きい。
プラス治療の過程を考慮すると...

入れない病院が多いのはこういう理由が大きいかもしれません。


息子が行っている病院はそういうこともあってかMRIなどの画像診断で義眼台の様子やその周辺の様子をチェックして状態変化をかなり細かく見ている印象です。

義眼台のメリット

デメリットもあるけれどメリットもあります。

・顔面の成長を促してくれる。

あったものが無くなるっていうのはこれからぐんぐん成長する子供にとっては大変なことで、無くなった分多かれ少なかれ左右差がでてきてしまいます。
左右にある目は特に顔面なので目立ってくる場合も。
義眼台を入れることで疑似眼球があるという感じになり、顔面の成長を助けてくれるようです。
台が入っている分顔面がフラット、つまりへこみなどもありません。


・義眼が薄くて済む
台がある分、義眼はすごく薄いです。
たぶん1/10とか、もっとです。
薄いということは体にかかる負担も少なくなります。


・多少動く
残っている目と同じように、とはいきませんが、台の動きで義眼が若干ですが動きます。
上下は苦手なんですが、左右は動くんですよ。
義眼が薄いことも影響していると思います。

<義眼台あり、目の動きの様子>
動画をあげ、考察している方が是非掲載して欲しいと送ってくださいました。
とても参考になる動画です。
ameblo.jp

※こちらの動画が掲載されているブログはリンクフリーではありません。
無断転載、リンクはくれぐれもご遠慮ください。


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頂いたメールの中に
「命が助かるなら目なんていいじゃない…」そう言われたというのがありました。
そして続きに「眼球を失うことは大変なこと、せめても自然に見えるように…と願うことは決して贅沢なことではないはず」とも。

命が助かるなら目なんていいじゃない。きっとその方を想って投げかけた言葉だったんだと思うし正論だと思います。でもそれだけで片付けられない気持ち。
残したかった大きな気持ち。
助かったその先は長いのです。そして片眼の子は両目ある子と同じ道を生きていきます。
乗り越えて強く、精神的な強さを持って歩んでいって欲しい、だけどフォローがあればきっと負担は軽くなる。



やれ再生医療だ、ipsだ、なんだという技術が出てきているのに今だに義眼の世界は亀の歩みな気がします。
(義眼台の情報は殆どありません。)


複雑な機能の目を0から再生したり、両目で見えるようになったりすることは、今後も難しいかもしれない。

でも、「動く」という機能に特化させること。
義眼の世界はもう少し進歩できるんじゃないのかなぁと


そうしたら、摘出することになった子供たちも
より強く、笑顔で過ごしていけるとも思うのです。









 

最近の坊

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坊はもうすぐ3歳。
大きくなりました。体格も同じ3歳の中では大きめです。
ひとり遊びが割と好きで
パズルや文字が大好き。
あまりの熱中、集中力でちょっと心配もするくらいだったけど
保育園ではお友達とコミュニケーションもとっている模様。
陽気でよくしゃべります。

そして一年前は歩かないって心配していたのに今は走り回っています。

義眼のことを少し分かってきました。
こすって目が回っていたら「ここがへん」教えてくれます(多分違和感があるんですよね)
こすりすぎて勢いあまって取れた時は「取れたー」と持ってきてくれます。
時々「めめちゃんとるのイヤー!」と主張します。
最近は目を取るスポイトが気になるみたいで、時々一緒にはずしてみてます。


ちょっと人と違うかもしれないけれど
これがいつものたのしい
うちの日常です。






最近よくメールをいただきます。

私からお伝えできるのは経験と勉強したことの範囲ですが、分かる範囲でお答えしますので
何かあれば送ってください。
話す場がとっても少ないので
何か手がかりや進むためのきっかけになればと思います。

私もやりとりをすることで
色々勉強、そして力をもらっています。

外来 2016.2月(記録)

実は1月にも眼科には行っていました。
結膜に白い点が出ていて心配になって予約日を早めていただいたのでした。
結局結膜の白い点は脂肪のようなものが出て来ているだけでまったく心配ないとのこと。
あーよかった。
「できもの」とか、小さくても心配になります。

2月に今回の予約をしていたので
眼科も引き続き見てもらう事にしていました。
眼科の方は問題なし。血流もよく義眼床も綺麗とのこと。


今回の小児科はMRIの詳細。
画像からは何もないというのはMRI撮影、同日に聞いていたんですが
主治医ではないその日の担当の小児科医からのお話なので
いつも別日に主治医よりお話を聞きます。

画像は問題なかったんですが
その日に結果の出ない外注の腫瘍マーカーの値がまさかの36越え。
36!?

しかも溶血なし。


これははじめてだ…どうしよう…


この腫瘍マーカー(病気によって見るマーカーは違って網膜芽腫の場合NSEというマーカー)って本当やっかいで数値があるからって癌があるって訳ではなく。
腫瘍マーカーって名前が駄目だわ。
単体で判断することは絶対になくて血液検査/画像診断と併せて判断がなされます。
腫瘍マーカーと血液検査のこの項目が高いから、○○の可能性、MRIでここが写ってるから○○かも、といった感じ。
溶血と言って血液採取の時にうまく採れていなくて血が濁ってしまった場合、まぁ大体は採血担当の腕の問題なのですが…
かなり高い数値が出てしまったりします。(溶血したかどうかは直後は分からず、検査結果に書いてある)
こうなると数値として意味がない。

病気のない人は通常10以下くらいだと言われています
(10ng/ml以下 病院によって基準値は異なる)
でもこの病気にかかった子は、術後、治療後でも割と高いままってことはよくあるそうです。
息子も20〜30の推移。
これは普通の人から見るとすごく高い!
即何か調べないといけないレベルだけれど、定期診察で推移を追っていて変化が大きくなければ問題はないんです。


でもぎゅんと上がると別。


同時に撮ったMRIには問題ある箇所はない。
血液検査も問題なし。


でも
ああーもやもや、心配。
もやもやを運んでくるのもNSEの値。一喜一憂してはいけない数字なんだけど、分かってるんだけどなぁ
やっぱり嫌だな。


先生も、「ちょっと気になるし今回も血液検査しておこうか。」と。
採血となりました。
検査結果少しでも下がってくれてるといいんだけどなぁ・・・もし高かったらMRIを早めてもう一度検査になるかな。

どうか何もありませんように。


※NSEの値を経過観察で見るかどうか、それを医師が伝えるかどうかは病院の方針によって異なるそうです。ずっと聞いていないという方もいます。


あと、血液検査の結果に
「乳糜(にゅうび)」があるのよー 血に脂ね。子供はあんまり出ないんだけどね。と先生。
息子、食べ過ぎ!?

これからのこと

今少しずつこのブログを整理する作業をしています。
レイアウトが変わったり、一時的に不具合があることがあるかもしれません。

2年が経とうとしている今、今だから忘れないように記録したいこともあるし
そして、病気が突然分かって途方にくれてしまったご両親がいたら、子供が目を失い、義眼をすることになったら、そういう時に少しでもお役に立てるようなところにしたいのです。

私達のいつもの生活なども織り交ぜて書いたらきっと楽しいブログになるかもしれないんですがどうしても記事が埋もれていってしまいます。
息子が患っている病気のことや、義眼の情報は本当に本当に少ないので、同じ境遇の方が少しでも前に進むための手がかりが探しやすい場所にしたいのです。
かたい文章も多いかもしれませんが
どうぞよろしくお願いします。

そのかわり、またイラストを織り交ぜての記録を再開しようと思っています。



ネイチャーにあたらしい文章がでていました。
日本も早期発見であれば今は95%くらいの生存率と言われています。
網膜芽細胞腫は人種、性別による差がないということなので
全世界では30%未満という数字に驚きました…

https://www.natureasia.com/ja-jp/nrdp/primer/67334

網膜芽細胞腫は、世界で毎年約8000人の子どもが診断される、小児の網膜に発生するまれに見られるがんの1つである。
おそらく錐体前駆細胞のような形質転換感受性網膜細胞の網膜芽細胞腫遺伝子(RB1)の両アレルが変異すると網膜芽細胞腫が発生する。網膜芽細胞腫タンパク質(pRB)の腫瘍抑制機能が失われると、細胞分裂が制御不能になり、腫瘍の進行に伴ってゲノム変化が繰り返される。

ほとんど全ての組織にpRBが発現しているが、錐体前駆細胞では、RB1喪失に対するpRBの感受性を高めて腫瘍形成を可能にするという生化学的および分子的性質が認められる。

高所得国における患者の生存率は95%を超えるが、全世界では30%未満である。

しかし、疾患啓発の向上による早期診断、新ガイドラインの活用、および臨床経験の共有によって、転帰は改善してきている。

従来治療では失われていたかもしれない眼球を救出する有望な方法として、動脈内投与化学療法および硝子体内投与化学療法が登場した。現在進行中の国際的共同研究によって、眼病変の多種多様な分類は、治療法の適格性、有効性および安全性を一貫して評価するために標準化された分類定義に置き換えられるだろう。遺伝性網膜芽細胞腫の生存者は二次がんの発生リスクを有しているため、生涯にわたる経過観察が必要である。

多様な組織におけるRB1喪失の分子レベルでの影響を明らかにすることによって、生殖細胞のRB1変異を有する患者の、二次がんに加えて、網膜芽細胞腫の治療と予防に新しい道が拓かれるだろう。


アメリカでも保険に入っていない場合は高額で治療を受けられなかったりもあるようです。
医療分野ではたぶん日本は恵まれています。

眼球を温存しながら助かる方法も出てきた。
でも未だに眼球摘出を治療法として多く選択せざるおえない現実もある。
早期発見されるようになってきたけれど、先進国であっても治療法がまだまだ確立はしていないのです。
なかなかに複雑で難しい病気だということは変わりありません。




いろいろ調べていて時々、原発の影響と絡めている方をみかけました。
眼内にがんができるということを知らない人が多いので、センセーショナルにうつるのかな。
拡散されていると何とも言えない気持ちになります。
網膜芽細胞腫は急に出て来た病気じゃなくて昔からある病気です。
(今年調査が行われていたようなので、増減や現状はこれから分かるはずです)


病気が分かった子供達はとってもつらい治療や診察を頑張って受けています。
義眼だって慣れないもの、大変です。
両親も責めながら悩みながら、毎日向き合っています。
みんな現実と向き合いながら、今とこの先を考えています。

だから批判の材料にしないで欲しいのです。
たぶんどのがんだってそうです。
知るなら現状をちゃんと知って、伝えて欲しい。

そして少しでも早期発見や治療法が確立していくように、環境がよくなる方向に力を貸していただきたいのです。

日帰り入院MRI 6回目 2015.12月(記録)

あの日からもうすぐ2年
やっぱり特別な想いで臨む。

片眼で幸い化学療法もなし、
ここまで順調にきているので
再発などの可能性はだんだんと減ってきているのだと思うけれどゼロではない。

何が起こるかはわからない、というのは
2年前の12月に嫌というほど感じたことだから気をひきしめて願う。

どうか何もありませんように。





朝から入院手続き、そして感染症予防の為の診察。
病院での診察もだいぶスムーズになって
沢山しゃべるようになった坊は面白トークを連発
先生や、この日来ていた研修中の学生さんを笑わせるまでに!


変な話、もう入院病棟も手慣れたもので。

担当の先生や看護師さんに今日の予定を聞いて
慣れた感じですいすい書類を書いて。

ただこの日は入院してる子が多くて感染病ではないけれど、感染病室の個室。広くていいけれど隔離されてるのでちょっと面倒なのですよね。
そして処置室もいっぱいなのでいつもと違う場所で点滴となりました。

2歳、3歳前というのは色々分かってきて、かつ思いの制御がそこまでできない難しい時期でして点滴入れるのが大変でした。
来年いっぱいくらいは大変かもしれないなぁグルグル巻の大泣きです。あたりまえだよね。大人だって嫌だもの。


しばらく遊んでお昼ご飯。
MRIの予定はお昼すぎて一時間後くらいなのでしっかり食べて遊ばせて軽い睡眠薬シロップを飲ませて眠りに誘う。

いつも寝ている時間なのでスムーズに寝てMRIの部屋までは行って今日も順調だなと思っていたら…

「すみません、お母さん。起きてしまいました…」

え!?

どうやらMRIの台までは順調に乗ったのだけれどその後、頭に検査用のパーツを付ける際に起きてしまったようで。

この時間は起きてしまうと再睡眠が難しいのにどうしよう!!
MRI直前に起きてしまってどうしよう!!


必死に寝かせようとするけれど、やっぱり途中で起きてしまう。ゴウンゴウンとすごい音を鳴らしている横でっていうのもあるけれど寝ない。

結局、強い睡眠薬を点滴から入れることに。正直これはもうやりたくなかったけれどしょうがない。
(話を聞くと量は体重を加味してしっかり調整しているから大丈夫だけど量を間違ったりすると呼吸が止まってしまうこともあるような薬も入れているとのことそんなことにならないように管理されてはいますが。)

看護師さんと相談して次回からの睡眠導入について話し合いました。

朝もっとしっかり遊ばせてフラフラになるくらいにして熟睡
シロップ+軽めの睡眠薬を点滴からも入れてダブルで熟睡へ

敏感な年齢なので、こちらもスムーズに検査できるよう考えていかねばと。


しばらくして結果。
再発、転移なし。松果体などにも異変なし。血液基本検査も問題なし(NSE値は外注検査の為次回診察時)眼科診察も問題なし



オールクリアでした。


よかった!


安心して新しい年を迎えられそうです。
心からホッとしました。

外来 2015.9月(記録)

9月の外来。
直近で保育園で義眼がまわる事が起きていてまずはそれを聞く事から。
義眼師さんにも相談したけれど大きさなど割とフィットしている状態なので様子見ということになっていました。

義眼が合わなくなる、というのは単純に大きさが合わなくなる。というのも一つなのですが
網膜芽細胞腫の場合は再発してるんじゃないか、ってこともよぎってしまいます。
何かが出来ていて合わなくなってるんじゃないか…MRIもコンスタントに撮っているので無いと思いつつ心配な日々。

眼科のチェックは良好。義眼床も綺麗なので大丈夫とのこと。
眼脂が増えているので目薬を変更してもらいました。

その後採血。
ああーエレガントに取って欲しいなと思っていたけれど
今回は小児科でなく採血ブースでの採血だったから溶血が心配。
もうめちゃくちゃ暴れていたので溶血していてもおかしくないかな… ここのところ腫瘍マーカーの正しい数値が取れていないので悩みどころ。


小児科ではMRIの結果と採血結果も見ながらチェック。
血液の基本チェックは問題なし
再発、などもリンパの腫れなし、MRIや血液検査を見てもないだろうとのこと。とりあえずホ。本当にホ。

だたやっぱり義眼台のズレが気になると…何故か眼科ではあまり言われないこのズレ
小児科だと気になると言われて(私も気になっているのですが)どうなっているのやら。
私が双方で動いても変わらなさそうなので、小児科の先生に眼科にどうすべきか聞いてもらうようにお願いしました。
もうちょっと連携が取れて欲しい。


前回少し聞いた義眼台の引き上げ術。
イメージとしてはなんとなく何かで釣り上げるのを想像していたのですがどうやら違うようで
体の別の場所から取った脂肪を義眼台の下に入れて上げるそう。
大人だったら上部で固定することも可能なようなのですが子供の場合は成長があるため出来ないようです。

何にしろ全身麻酔下での手術なので「お願いします!」なんて簡単には言えない手術。
何度もするものではないので時期はちゃんと見極めないと。


次回は冬のMRI



海外にお住まいの方のブログを見る機会があってretinoblastoma専門のような科があることにびっくりしました。
今の病院もいい病院なのですが、連携に関しては時々?と思う部分もあり(義眼台の事に関しても医師同士でもう少し相談して欲しいなぁと。欲を言えば義眼師さんも交えて)。
がんセンターだともう少し違ってくるのかな。

あと、術後に可愛いケースに入った義眼ケアセットのようなものが用意されていて!ああ、こういうの欲しかったなぁって。
だって義眼所は別の場所だし、もう最初は混乱の中で何が必要かなんて分からない。医師は義眼についてはそんなに多くは説明してくれない。
親がそんな中、そうでなくても色々頑張らせてしまっている子供の目のケアをスタートさせないといけないのは大変です(でした)。
子供にとっても親にとっても義眼はじめてセットみたいになっていると安心すると思うんです。

と同時に海の向こうでも頑張ってる子ども達がいるってことも。
ほんとにね、みんなみんな、小さな体でがんばってるからこれ以上がんばれなんて言いたくない。
でもどうか乗り越えてみんなみんな、すくすく大きくなって欲しい。

保育・幼稚園関係者の方へのお願い(義眼について)

保育・幼稚園関係者の方が検索されて来られる事があるので
義眼へのQ&Aをまとめてみました。

※片眼の場合のことを主に書いています。
義眼への正しい理解が進み、子供達が楽しく生活できますように。
(あくまで私の経験値ですので、ここは違う!っていうところがあれば指摘くださいね)

義眼へのQ&A

<義眼ってどんな形? → 大きなコンタクトレンズです>

  • 一番誤解がある部分ですが義眼は球形ではありません。大きなコンタクトレンズという形です。


<義眼が無い時はどんな感じ? →  穴は空いてません>

  • 穴があいている訳ではありません。結膜が見えるだけで想像しているより違和感はないですよ。


<なぜ義眼をするの? → 一番の目的は顔面の成長をフォローするため>

  • 無くなった側の顔の成長を促す為でもあります。目がないとその部分は成長をやめてしまいます。何もしなければ顔面の左右の成長が変わってしまうので、成長著しい子供にとって義眼はとても大切なものなのです。また目はコミュニケーションに大きな役割を果たす部分でもあるので、日々を円滑に過ごす為の意味合いもあります。

そして、義眼床と呼ばれる目がなくなったことで生まれる結膜の部分を守る役割もあります。硬い義眼が守ってくれるのです。(摘出の場合です)




<頻繁に取れたりする? → 頻繁には取れません>

  • 意外に取れません。調整をしっかり行ってその子に合わせたものを作っているので普通に生活していて取れることは殆どありません。走ったり、遊んだりしていても取れません。
  • 寝起きなど目を強くこすったりすると回ったり取れたりすることはあります。頻度は高くありません。登園中、回ったり取れた事がまったくないという話も聞きます。


<義眼の扱いって大変? → コンタクトと同じくらい簡単>

  • 扱いは簡単です。入れているだけなので出し入れも簡単です。清潔な手で出し入れ、汚れたら日中は水洗いでOK着脱もコンタクトレンズと変わりません。ただ子供の目に合わせたオーダーメイド、つまり特注品で安いものではなく、すぐに代わりをというのが難しいものです。落ちることはあまり無いとはいえ何かの拍子に失くしたりには注意です。年中、年長になってくると自分で洗ったりもできるようになります。


<義眼の取り外しは医療行為? → 医療行為ではありません>

  • 義眼を他人が取り外したりすることは国では医療行為とされていません(先日義眼師さんにお聞きしました。国へも問い合わせをされたそうです)。取り外したりを園でするかどうかは基本的に各園の方針になります。※地方自治体で独自に方針を定めている場合はあるようです。


<片目は障がい者? → 殆どが障がい者にはあたりません>

  • 両目の視力の和が認定の基準の為、もう片方の目に視力があれば、相当視力がない場合を除けば障がい者と認定されることはありません。この事を知る人が非常に少なく、その認識の格差が差別を生む要因の一つになっています。

marmom.hatenablog.com



<片目だと生活に支障がある? → ほぼ支障はありません>

  • 殆どありません。幼い頃から片目の場合、脳が見え方を片目でうまく処理できるように発達するそうです。本人が見えない分を本当にうまくカバーして行動します。介助の必要はありません。

注意するのは以下でしょうか
 

  • - 義眼側の視野が狭いので、その部分に何かあると若干反応が遅れる。
  • - 立体視ができないのでたまに物を取り損ねたり、距離感が掴めなかったりすることはあるらしい(これに関しては脳が片目で近い機能になるようだんだんと補完していくようです。息子は取り損ねたり距離感がないということはまったく見受けられません。)

過度の心配はまったく必要なしです! ちゃんと毎日の生活で学んでいきます。



<義眼で体育やプールはできる? → できます>

  • 走ったり飛んだり回ったり。そういうことで取れたり回ったりはしません。体育で出来ないことはないです。
  • 水遊びはまったく問題ありません。
  • 泳ぐ場合は念のためゴーグル装着が良いです。



<他の子供への、保護者への対応は?>

  • これは家族と園との相談になります。はじめに状況を説明するのかしないのかもし他の子供が「義眼」に気付いたらどうするのか。皆さんそれぞれの環境を見て決めています。

ちなみにうちは
○現在義眼のことを気付かれることなく生活できているので保護者全体への説明は行っていません。
○保育士さんと意見交換を随時行って、考えに違いが出ないようにしています。
○もし何かあった場合必要であれば速やかに保護者などに説明するよう話しています。

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先日、同じ病気で戦って義眼になったお子さんが保育園に通うにあたって園側と意見の相違があって揉めるということがありました。
保育園側が義眼に対して過剰な心配をしており、その行き過ぎた対応が子供の健康的な生活を妨げることになってしまっていました。とても理不尽で悲しい対応でした。
「義眼」は義足、義手などと比べて世間的に認知度が低いのも原因だと思います。



そういうこともあって今回こういう文章書きました。




子供達にとって義眼は大切な体の一部です。




特に片眼の場合は「障害」と社会的に認定されません。
片目は障害ではない。社会的にはそういうことです。
だからこれから両目がある子とまったく同じに生活していくことになるのです。

義眼をはめている子を扱った事がない、大丈夫か…心配されるかもしれませんが、障害ではないといわれる通り、実際、生活していく上で支障が出ることは殆どありません。だから他の子と同じように対応、接していただきたいです。

ひょっとしたら目の事に疑問を持つ事で子供同士トラブルもあるかもしれません。
でもそれは日常の色んなトラブルと変わらないと思います。
子供もその体験の中で自分のことや、お友達への対応を自然に学んでいくと思います。


保育園や幼稚園は社会への入り口。
どうか義眼への正しいご理解をお願いします。