うみをすすむ

0歳10ヶ月、網膜芽細胞腫(レティノブラストーマ)という目の小児がんで右目を摘出した息子との日々のこと。病気と向き合う記録。

義眼づくり<二つ目の義眼の準備へ>

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義眼師さんと相談して息子の二つ目の義眼づくりの準備をすることになりました。
今の義眼は概ね満足しているし自然です。
周りから何かを言われることはほぼありません。
(子供同士だとやっぱり「寄り目だね」なんて言われてることかはあるんです。子供は率直ですから。義眼の方の動きがそこまでないんで、どうしても寄り目、逆にはなれたりってことはあります。)
でも作り始めようかなと。


今の義眼を付け始めてからは正確には1年ほどなんですが、書類上は2年半経っていることになります。

何故書類上と実際の期間が違うかというと
義眼には保証期間というものがあって、一度完成してからの保証。私たちが行っているところは9ヶ月間あります。
長いような短いようななんですが、この保証期間は電化製品などの保証とはちょっと違い
「この期間で欠けた、割れたら」というのではなく、その間もうちょっとこうしたい、やっぱり合わないなとかで「合わうまで調整」してくれます。

そして調整というのが作ったものの手直しではなく
ほぼ作り直し、というか

義眼師さん一から作ってくれている!...

最初ということもありましたが保証期間中に作成した義眼の数は多分10個を越えています。手厚く何とも何とも有り難い。


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※義眼には一応耐用年数というのがあり、2年とされています。とはいえ2年を過ぎたものを使ったからといって即座に害がある訳ではありませんし大人の場合は成長は止まりますから自分次第なところも。長く使っている方も結構いるはず。

でも樹脂製の為に劣化はします。義眼の着色などに多少金属物質などが含まれているので劣化すると体内に溶け込んでしまったりということも。あとなにより長く使っていると体内のいろんなものが染み込んでいって、研磨した時にかなり臭いんだそうですよ(笑)
子供の義眼は視力のない、または失った目の方の顔面成長を補助するという大切な役割も担っているので、大きさを調整しながら数年ごとの2〜3年での交換が良いと聞いています。




サービスが充実しているとはいえ
保証期間を過ぎた後は、というと有料で研磨などはしてもらえますが調整することは難しくなります。
ここがもうちょっとなぁと思ってもできないのです。


息子の成長を見ていて
もうちょっとこうだったら良いなぁというところをトライしてみたいという気持ちがあり。
こうしたい、という想いは私も勿論ですが義眼師さんという職人の目からもあるようです。

私の担当の方はいつも提案してくださって、
それは私の気付かない所だったりするので有り難い。


この秋から作り始めたらちょうどいい感じのタイミングで出来上がるかなと思っています。
二つ合う義眼があると安心ですしね。


変更しようと思っている箇所は
・白目の色
幼児の白目の色の変化は著しくてちょっと変わってきてます。

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先日、白目の色の参考の義眼を見せて頂いたんですが
ものすごい繊細な色の調合パターンが何個も!びっくりですよ!!
子供の目はかなり青白いのですが、白から青白、青白でも緑がかったものや、黄みがかったものや一見すると分からないくらいの微妙な色パターンが用意されています。これを元に個々の色を調整するって言うんだから。すごいです。

・黒目の位置
だいぶ調整はしているんですが、もう少し上に持っていきたい と考えています。


はてさてうまくいくのかなぁ



まずは次回の診察で医師の意見書をとらなくてはなりません。申請ごと、一度やったけどやり方をすっかり忘れている....





そういえば、私達が通っている義眼やさん、
大きなキッズルーム完備の待合室が出来たんです!
おもちゃも絵本も増えて何より大人とまったく別室。
遊べる場所の他にDVDやテレビオムツ替えスペース、授乳室も完備。
感激しました。

今までもおもちゃなどは置いてあったんですが
待合室は大人と同じ。混雑している時に騒いだり泣いたりしてしまって
大変なこともよくありました。
制作中は一回につきどうしても数時間はかかってしまうので…

この病気が見つかるのは0歳~就学前の子供がほとんど。
その他の出生時の疾患、その後に発生した病気で義眼を必要とする子もまた小さいです。


小さな時に義眼を作りに行かなければならない。



親にとっても子供にとっても決して楽しい事とは言えません。初めての時は特にです。不安しかない。

でもこうやってスペースがあると、少しでもマイナスの気持ちを緩和できますし、
通うことも苦痛ではなくなると思います。

何よりそこで出会った親同士も話ができ、そして子供たちも一緒に遊べます。
本当に感謝です!




でもね、大人と同じ待合室で良い事もありました。
「僕も息子さんと同じくらいの時に義眼になったけどね、元気でやってるよ。大丈夫だからね。」
そんな風に沢山の励ましを頂いた事。

主人を優しく見守る強く賢い盲導犬たちに出会えたりしたこと。

経験を分かち合うこと。

静かに、そしてみんな優しくて。
義眼やさんの待合室、私は今では結構好きなんです。