うみをすすむ

0歳10ヶ月、網膜芽細胞腫(レティノブラストーマ)という目の小児がんで右目を摘出した息子との日々のこと。病気と向き合う記録。

ぼく自分で目を取れるよ!

最近ぐんぐんできることが増えている息子。
もうすぐ5歳を迎えます。

数日前

「ママ〜 ぼく自分で目とれたよ!」って
振り向くと義眼を自分で取ってる!

<取ってしまった>
ではなくて
<自分の意思で取った>
のです。

下まぶたを下げてスルっとちゃんと取り出して。
何という成長!


なんで取ったの?と聞くと
「痛かったから」って。
最近寒くて乾燥しているから夕方保育園から帰ったくらいの時間になると
目やにや何やらで痛いみたいです。

取る前はちゃんと手をあらって綺麗にしてからね
ばい菌がいっぱいいるからね。と教えると
次にはちゃんと洗って取ってました。えらいなぁ

お友達の前では取っちゃだめだよ。
特別なめめちゃんだから、みんなはびっくりするからね。
痛くなったら先生に言うんだよ。
というのも追加で。



息子の義眼は入れるのは難易度が高い形状なので
入れる方はすぐには無理かもしれないけど
小学校までには自分で出し入れできそうです。

私が洗ったりってもうすぐ無くなるんだろうな

朝日新聞連載

朝日新聞で今日から一週間にわたって
網膜芽細胞腫を取り上げた記事が載るそうです。
病気を経たその先の話。
今までにないより踏み込んだ内容のようなので、私も読んでいこうと思います。
最後に第一線で病気の治療されてる先生のインタビューもあるとか。

「患者を生きる・遺伝性がん」

www.asahi.com
※デジタル版は無料登録することで全文が読めます



この病気は遺伝子が関係しているけど、遺伝性と非遺伝性の2タイプがあるということ。

年齢層が上の方の網膜芽細胞腫のサバイバーの方は親も知らなかったり本人も聞かされていない?ことが多いのかなと思いました。
これから子供にどう伝えていくか悩むところなので、詳しく知っていたか、知らなかったか、どう聞かされていたか聞いてみたいところです(大人の方、是非お聞かせください)


遺伝性は家系からの遺伝で、体全体、RB1遺伝子という発生元になっている遺伝子に変異があります。非遺伝性は網膜の細胞の遺伝子だけがたまたま傷ついて腫瘍が発生。

両眼発生の場合はほぼ遺伝性で片眼のみ発生の場合は10〜15%で遺伝性。のこりは非遺伝性。

遺伝性か否かによって該当遺伝子が引き起こす二次がんの可能性と子孫に引き継がれるか引き継がれないか、というところが変わってきます。

治療が終わっても、完全に終わらないのはこの病気をはじめ小児がん全体の難しい部分だなと思います。



坊は今のところ片眼発生で遺伝性か否かは分からないままです。少し身近になった遺伝子検査とカウンセリングを今の段階で受けることに決めました。本人の性格的なところもあり受けるなら小学校前にと。

これは受けても受けなくてもいいものです。
将来的に知りたいと自分で受けてもいいものです。

調べれば情報が出てくるようになった今、私は、何か迷ったり、悩んだりした時に一つの材料として提示してあげられるようにしておきたい。と
記事の内容がタイムリーなのもあり、明日以降の内容もじっくり読んで考えようと思います。

日帰り入院MRI 10回目 2018.1月(記録)

新年すぐのMRI

実は元旦に義眼側、下瞼が大きく腫れ

そんなことは手術以来はじめてで大慌て。

救急受診も考えたけどインフルエンザが周囲でかなり流行っていて貰い病気にも躊躇。

ストックしていた目薬で様子をみることに。

朝には引いててホッとしていたのだけど夕方にまた腫れ!今度は上瞼も。

「痒い〜」という言葉もあって

何らかの炎症だろうと思いつつも

よぎるのは「再発」「露出(義眼台)」

目薬で様子をみながら3日目もだったら病院へと決意。

 

幸い3日目以降はおさまっていたので保留

でもやはり心配。

MRIには眼科の診察もあったからいつも以上にしっかり診てもらおうと考えてました。

 

MRI感染症チェックもスムーズで

滞りなくと思いきや

点滴入らない!! 

結局場所を変えながら3回も刺すことに...もう最近はお喋りも上手なものだから「もう嫌ーー」「注射終わりにしてー」「3回も嫌ーー(よく分かってる)」本当に辛かった。

ごめんよう...でもMRI撮るために来たからね

造影剤入れられないからね...

 

入眠までの合間眼科で初の視力検査へ

機械を覗くのは怖がってたけどランドルト環はすごく楽しそうに!ミニチュアのランドルト環を持って、表示したものと同じ方向を示すことで測る。

結構見えてたと思う。1.0はあるんじゃなかろうか。遠くも近くもちゃんと。小さいのもちゃんと。よかった。本当によかった。

片目でも見えてるって憶測じゃなくてはっきり分かった日。彼の視界がどんな風かは分からない。でも少なくともこれだけ見えてる。嬉しかったです。

 

すぐに入眠に戻らないといけなくて結果をはっきり聞くことが出来ず。また後日...

 

入眠はトリクロシロップ(本人大嫌いな)のみでいけて

しかも撮影終わったら、起きるという

今までで一番スムーズなパターン!

すごい

 

MRIの結果を待っての

眼科の診察、画像も問題なくクリア

よかった。

問題の腫れも、使った目薬でひいたのなら炎症はあったのだと思うけど心配するものではないとの言葉。発熱など併発してたら心配だけどということで露出も毎日ケアしていれば今の時点で心配はないとのことで一安心です。

今回みたいなことがあったら救急ででもきてね

眼科も常駐だからって。(眼科常駐だとは思ってなかった!)これが一番心強かった。

 

 

でも....主治医まさかの次シーズン異動

やっと信頼関係もできてたとこなのに

大きな病院だからしょうがないんだけど

なんてこったい

 

 

 

 

 

 

もうすぐ

5年間近です。癌は寛解、大丈夫かなっていう目安が5年。最後の一年です。

 病気が分かったのが26日今日27日は目が回るほどの検査だった日。クリスマスから年末はもうどうしても忘れられない時間です。

 

発見してくれたおばあちゃんが来てくれたことも、すやすや寝てる光景も変わらなくて。右の目は失ってしまったけどモクモクした悪魔みたいなのがいるよりいいと信じている。

 

毎日笑っていてくれてありがとう。お母ちゃんはあなたの笑顔がほんとに好きなの。

義眼の体験談

しばらく忙しく更新が途絶えていましたが
坊も元気にしています。

また少しずつ更新していきます。

先日このブログにコメントを頂いたのですが、同じ病気で片眼摘出、義眼装着、大人になった方からのリアルな感覚で
共有したくて記事の方へ掲載することにしました。(掲載の許可はいただいています。ありがとうございます!)

子供の気持ちをどんなに想像してみても当事者でないので分からないことは多くて
しかもどんな育児書にも書いてないこと。日々手探りです。
なので当事者の方が大人になって、こうだったよ、こうだよと教えてくださるのは子育ての希望にもなりとっても有り難いです。

▼▼▼

私も,2歳の時に目に腫瘍ができて摘出し,義眼となりました。
生まれてから2年たってますが,両目見えた時の記憶はありません。

(1)数時間義眼を外して生活する点について

数時間義眼をはずすと,付け直した時にうまくハマっていないような違和感を感じます。
おそらく,つけていない間に目(の裏?)の形が少しずつ変わってくんだと思います。
その結果,つけたばかりの時は,義眼の視線の方向がしばらくの間ちょっとズレてるんじゃないかな,という感覚があります。そのうち直りますが。
オジサンになった今でもそうですから,成長著しい子供の時は,常に装着している状態の方がいいように,感覚として思います。私は医者でもなんでもありませんが。
子供の成長に合わせてちゃんと義眼のサイズを変えていけば,大人になっても義眼とぜんぜん気づかれないくらい,見た目に違和感はないようです。

義眼だよ,と言ったら驚かれること多いです。もちろん,完璧に横を向くことはできないので,多少斜視気味なところがあるのかな?とは思われていたようですが。
一日の後半になり疲れると目ヤニが多めに出るようになります。こまめに取り外して洗ってます。


(2)視野が狭い,遠近感がない,かも知れないことについて

視野については,不便を感じたことは一度もありません。おそらく(ほぼ)生まれつきこの視野だからだと思います。
車の免許も普通にとって乗っています。更新の時に視野の検査をさせられますが,いつも全く問題なし。ただ,見えない目の側から近づいてきた人にぶつかってしまうことがちょくちょくありますね。まあ,あ,すみません,と謝れば良いだけの話です。

遠近感については,両目見えた時の記憶がないので,あるのかないのかよくわかりません。
でも,中学生の頃から,今でもテニスをやっており,特段不利を感じたことはありません。
ちゃんとラケットがボールに当たります。特別上手くもないですが笑。周りの人が思うほど,片目であることによる視野や遠近感の不便はないと思います。

お子さんの将来について不安を感じることがあるかもしれませんが,心配ご無用です。私は片目が動かない上にチビですが,普通に女の子と恋愛もしてきましたし,片目だから不利だったことなど1つもないと思ってます。
残った目を大切にしつつ,特別扱いせずに育ててあげるのがいいんじゃないかな~という感じです。

義眼に気付かれた!

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朝のみ通園バスを使用しているのですが
先月、先々月、どうも朝、目がかゆいことが多かったようで
はじめてバスの中で義眼がまわってしまいました。

義眼は日常・運動などではまったくこういう心配はないんですが、コンタクトと同じで入れてるだけなので「こする」など左右の強い力にはどうしても弱く、ぽろっと回ったり取れたりしてしまうことがあります。
大人だとそこは力を加減することはできるんですが…小さい子は加減ができず、ゴシゴシゴシっと力任せに擦ってしまいます。
目ヤニ・そして痒みが本当大敵。


隣に座っていた女の子が
「白目になってる~」と保育士さんに報告したそうで
まわりの子もちょっと気づいた模様。


ひえええ


バスにも、ケアセットは常備してあるのですが、閉鎖空間。
取り出して直すのはさすがにお友達が乗っている場ではできないので、アイパッチが初めて使われました。(アイパッチとは本来は弱視の子が矯正に使うためのシール状の眼帯です。義眼っ子の場合、特に幼児は眼帯のゴムを嫌がって取ってしまったりするのでシール状が便利。こういう応急処置的に使います。)


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アイパッチ嫌かな~・・・思っていたのですが「ママ、今日ね、おめめにシール貼ったんだよ」と帰ってから嬉しそうに報告していて割と気に入っていた模様(よかった)。アイパッチ自体は先生が貼ってくれたようです。バスを降りて、目を直していただいていました。




しかしこの園バスで回ってしまったことが、同じ月に2回も発生!

そしてお昼寝から起きた時にもかゆくて擦ってしまい
まわってしまったそう。

計3回!

今回も「白目になってるー」「何か貼ってる」で終わったようなのですが…


通常予定されていた保育園での面談プラス
今の時点でどう周りに伝えるべきか、どう対応するかなど義眼のことについても話し合いました。

4、5歳、年中さんはもう皆おしゃべりがとっても達者です。
特に女の子はまわりの子のこともよく観察してるんです。
年長に上がったらもっとです。

お母さんには義眼であることをお伝えしてる女の子がいます。バスも一緒。その子は多分何か目が自分と違うかも、ということは気づいているんじゃないかと思います。というのも前の乳児園(0~3歳だけの保育園)からずーっと一緒で、おそらく何度か義眼が回っているところも目撃しているのです。

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その子のお母さん話していて、今回の白目事件の話に。すると家で「坊くん、いつも目拭いてもらってるのよ。私も拭いてもらいたい!」なんて言ってたそう
(ええっ!? そこなの 笑)

義眼ということや、何か違うということより、みんなとは違うことをしてもらってる、私にはしてくれないのに! という事には敏感なんですね。
ひいき、のように感じているってことか…と その辺考えていなかったな。
そういうエピソードも含めて担当の保育士さんと話し合いました。

〇お友達の前で回ったら、保育士がどう説明するのか

テーマは以前から変わらないんですが、1歳、2歳、3歳、4歳と少しずつ環境が変わってきているので都度確認は大切で。
特にこういう何かあった時に間を空けないでがいい。
「病気」というフレーズを入れるかどうかを迷っていたのですが、保育士さんに聞くと4、5歳の子は結構「なんで?」と掘り下げて聞いてくるそう。
なので

「赤ちゃんの時に大きな病気をしたから、みんなの目とはちょっと違うんだよ。 でも今は元気だよ。」

「時々白目になったり、変な向きになったりしてるかもしれないけど、教えてあげてね」

という感じで軽く触れてもらうことにしました。
親御さんに聞かれた場合は、小児がんでということには触れず、「赤ちゃんの時の病気で義眼なんです」と伝えてもらうことにしました。
(過去、乳児園の赤ちゃんクラスの時に保護者へお話しした時「小児がん」というフレーズが想定以上に重く受け止められてしまい、義眼で回ることがあるけどびっくりしないで、ということを言いたかったのに伝わらなかったからです。)

あと、バスの座席を変更することになりました。先生が隣の窓際へ。これで何かあってもすぐに見えることはないかな。
変わってすぐは なんでー ということはあったみたいだけど。

〇まわりのお友達はどう思ってる?

保育士さん達は目ヤニなど気づいたら拭いてくれているのですが、なるべくさっと見えないようにしてくれてるとのこと。息子の目のことを特別気にしてる子がいるということはないよう。

義眼のことに関わらず、4,5歳児は相手のことが気になったり、相手の行動や言葉で泣いたり、喧嘩したりというのが始まる時期なんだそうで、気にしながら対応、ということに。

〇誰に目のことを話すか、子供の意思に託したい

今は年中さんで何かあればもちろん説明は必要なんですが、
体のことや気持ち、本当のところは本人にしか分からないもの。もう少ししたら自分のことを自分で話せる年齢になってきます。その時はもう近づいているから「親をはじめ大人が周りに話す」のはこれから必要最低限にしたいなと。誰に話すか、誰と共有するかはきっと大切な部分になってくると思うのです。

彼の目やその経緯全てが彼のアイデンティティでもあるから尊重したい。


<嘘は絶対につかず、その場しのぎはしないこと>
これはずっと芯にあって変わりません。


帰ってからあんまり強くこすると、メメちゃんがくるーんって回っちゃうから
痒くてもやさしくこすろうね。

と言ってみました。
「うん、やさしくこすってみる」「きょうはやさしくこすれた」と言って、息子なりに実践しています(かわいい)
そう、もう言えば理解してくれるんです。



だんだんと手を離れていく子供。
自分で考えて行動できるようになってくる子供。

状況も変化してきて

まだまだ考えることはありそうです。

義眼代金の申請

2個目の義眼の手続きが完了
すっかり忘れていたのでメモしておきます。

<前提>

厚生労働省の定める特殊義眼の基準額は 60,000円(税抜)
治療目的の義眼であるということ

<還付手続きに必要なもの>

  • 医師の診断書、または意見書<医師作成>
  • 装着証明書<医師が作成>
  • 義眼業者の領収証
  • 療養費支給申請書<各健康保険窓口>
  • 印鑑
  • 振込先(通帳など支店・口座番号がわかるもの)

装用期限は一応2年と定められているので、初回以降は2年経つとこの手続きができるようになります。
2年以内の作成だと全額実費です。

申請の流れ

  1. そろそろ義眼を変えようと思ってますと医師に相談「意見書」を書いてもらう。※初回は何も言わなくても医師が多分用意してくれる
  2. 意見書を持って義眼屋さんに行く→義眼屋さんに「意見書を提出」(コピー後返却してもらえる)
  3. 義眼制作スタート
  4. 義眼が完成したら代金を支払い「領収証」をもらう
  5. 受診日に主治医に義眼できましたと報告し「装着証明書」を書いてもらう
  6. 全ての書類のコピーを取る<健康保険事務所、役所と2か所提出が必要なため>
  7. 療養費支給申請書を提出(うちの場合は社保だったので社会保険事務所
  8. 還付されました、と報告が来る
  9. 次に役所に還付報告のハガキを持って「こども医療費」での申請。還付報告書類プラス意見書・装着証明書・義眼業者の領収書のコピーも同時に提出
  10. こども医療費分が還付

ちなみに
※小児慢性では補装具は駄目と言われた
※こども医療費に関しては上限が自治体で違うので還付金額なども違うはず。要確認
※両眼の場合は身体障碍者手帳が使えるので手続きがちょっと違います。
※大人になると健康保険7割分になるので還付は少なくなります。

▼参考
義眼費用 - 網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会「すくすく」


という感じでした。最終的にはほぼ国が定める義眼金額くらい戻ってきたのではないかと思います
それでも実際の義眼は大体その倍以上くらいはする(大体10万~20万くらい、義眼屋さんによって価格は様々です)ので残りは実費。
つまり現状と合ってないということ。

義眼人口が少なく、またオーダーメイドで義眼師さんの細かい仕事を見ていると私は高すぎるとは思わないんです。
そうでなければ後継の義眼師さんたちが育たないんじゃないかとも思う。

正直国の基準が現状にもう少しでも近づいてもらえたらありがたいです。もしくは3Ⅾプリンタ・スキャンのような新しい技術を駆使することで価格が安くなってくれたらな。




健康保険窓口はスムーズですが、役所は本当時間がかかりますので余裕を持って!
公務員なので異動で以前のスタッフがいなくなっちゃうとまた一からなのですよね。とほほ


これは網膜芽細胞腫の眼球摘出の場合なので、
眼球が残っている場合、また小眼球症、無眼球症、他疾患の場合だと分かりませんので確認してください。

基本美容目的(見た目保持の理由)では駄目だそうなので、眼窩保護、治療の目的であるという医師の証明が重要になります。