うみをすすむ

0歳10ヶ月、網膜芽細胞腫(レティノブラストーマ)という目の小児がんで右目を摘出した息子との日々のこと。病気と向き合う記録。

義眼の役割

なんだかすごいアクセス数でどうしたんだ!
と思ったのですが(どうしたんでしょう...)
保育、幼稚園の方へというページがたくさん見られていたのでいくつか補足しようと思います。

※追記しました。 2017 4/18


子供の義眼のはなしで一番驚かれるのが
義眼は「顔面の成長のフォローをするため」にあるということなんです。
目がなくなってしまう(視力を失う)と、その周りの組織が成長をやめてしまうこと。
これは私もはじめ知らなくて。

あと、顔面のフォローを中心に書いていたので今までちゃんと書けていなかったことが一つ。

術後、むき出しになる義眼床と呼ばれる結膜の部分を守る役割もあります。義眼をのせる部分ですね。
※後述しますが、義眼には二種類あって、無眼球(摘出)での義眼と、眼球有のかぶせ義眼。このことは無眼球の場合です。

目がない→つまり結膜部分が多くデリケートな部分です。
義眼がなかったら小さな子は指をそこに直接いれちゃったり、ゴミが入ったり、遊びの中でその部分に傷がつくと炎症をおこしたりしかねません。
結膜って普通でも柔らかくて、しかも結膜炎になったりしたら大変ですよね! 面積が広いということは…です。

義眼台のようなものが入っている場合は、その傷から中に入れたものが出てくる可能性もあります。


日中義眼という仮の目、固いものがあるおかげで守られているのです。
トータルで「眼窩保護」という言葉が使われます。



多分多くの人が見た目の為に入れていると思っているのではないでしょうか。

もちろんその為もありますが成長の意味合いや体を守る意味合いが大きいです。



義眼には二種類あり
◎眼球を摘出した場合の義眼
◎眼球は残っているけれど機能していない場合の義眼ー眼球の上に乗せる通称「かぶせ義眼」の二種類があります。

網膜芽細胞腫の場合は腫瘍のため眼球摘出という治療をすることになるのでほぼ前者です。
後者の義眼の人も割といます。



あと昔はガラス製だったそうなんですが
今の日本の義眼は樹脂でできています。(世界的にも多分樹脂製です)落としたからといってそんなに簡単には割れません。

だから落としたらどうしようと過度の心配は必要ありません。
細かい傷はついたりするので、定期的に義眼師さんに研磨してもらったりメンテナンスに行きます。




子供から義眼をする要因になる疾患は
網膜芽細胞腫だけでなく、小眼球、無眼球症、その他にもいくつかあります。


もし身近で出会うことがあったら
正しい理解で成長を見守っていただけたら。
子供も親も、その先が笑顔でいられるよう毎日試行錯誤しています。
良き理解者が増えてくれると前へ進むための力になります。


うちの子には
「こっちの目はみんなと違うけどね、あなたのことを助けてくれるちょっと特別なめめちゃんなんだよ。
だから大切にしようね。」

なんて言いながら洗ったりしています。

そうすることで子供自身、
少し受け入れてくれてるかなという気がします。

彼にとって大切なパートナーである義眼なのです。

▼こちらと合わせて読んでください。
marmom.hatenablog.com

保育園、幼稚園への入園のとき。

保育園、幼稚園の入園のシーズン。
義眼のお子さんを持つ方は色々悩みが出てくる時期だと思います。
私もたくさん心配したり、試行錯誤したり(今もだけれど)

参考になるかどうかはわかりませんが過去に書いたものをまとめておきます。

うまく受け入れてもらえたり
もらえなかったりするかもしれません。
お互い知らないことばかりですので、丁寧に根気強く。

伝えようとすること、知ろうとすること、あきらめないことは大切です。


marmom.hatenablog.com



marmom.hatenablog.com



marmom.hatenablog.com



marmom.hatenablog.com



以前作った義眼の出し入れについてのイラスト説明(PDF)メールいただければ送れます。

日帰り入院MRI 8回目 2017.1月(記録)

2016年の12月初旬の予定だったMRI
保育園で風邪やら胃腸炎やらが蔓延していて
坊も洗礼をうけ嘔吐や咳が続く日々。

予定日には回復していたとはいえ、
大きな病気の子、化学療法中の子が多く入院する病院なので、小児科と相談して延期。
入院する病棟での感染症は本当に命取りなのです。


それでも心情的には、あまり延期はしたくなかったので
新年はじめに再予約。



年明け、とても元気で予定通り。

でも
病院への途中

「ぼく、いきたくない。あそこはこわいからいやだ」

そう言い出した坊。
今まではそんなこと言ったことなかったんです。
途中でいきたくないとぐずることはあったけれど、

「こわい」

その言葉が道すがら出てきたのははじめてで。
明確に、そして理由をもって
病院が嫌だと主張したことにああ、この子は沢山のことを分かりはじめているんだと痛感した瞬間。

成長は時に残酷かもしれない。

坊は0歳の時に手術を終えているからきっとあの日の記憶はなくて。
それでも通常では必要ない検査の繰り返し
眼底検査、目をのぞきこまれる、何度もの採血、MRIの度の点滴
当たり前だけどこわいよね。
大人だって怖いよ。

3歳、4歳、もっと上の歳で見つかっての手術、闘病だったら「こわい」はもっと大きい
胸が痛くなりました。


着いてからもぐずっていたのだけれど、
感染症予防のための検診をうける頃には落ち着いて
半日入院のための病棟に着く頃にはケロッと。
坊は腹をくくると割と切り替えは早いのだよね。


今回お父さんも同行。
実は3年も経って、お父さんが検査MRIに来るのははじめて。
職業柄いつもは絶対に無理なのだけど
お正月ということで休みで来れたのでした。よかったね!

ごはんもしっかり食べて
今回はトリクロシロップ+点滴での軽い睡眠薬でぐっすり。

寝ないかな~と思っていたら爆睡で
MRI中も起きずに、強い薬も入れなくて済んだと思ってたら

なんとお昼から19:00くらいまで寝ていました。
ちょっと心配するくらい…おいおい寝すぎだよ~!


結果はオールクリア
3年を超えました。
どうかこのまま順調に寛解までいけますように。



          • -

別の問題が勃発してまして

いびき。
坊、すごいいびきなのです。

どうも扁桃腺が大きいとか、慢性になりつつある副鼻腔炎とか
そのあたりも関係してるようで

眠剤を入れると更に酸素濃度が下がって
皆ざわざわ。本人は熟睡してるだけのようですが
ちょっといびき大きいなぁ でスルーできなくなってきたので
近々見てもらおうと思います。


あと、遺伝子検査について色々情報いただいて
ハードルはかなり低くなっていることが分かってきたので
カウンセリングだけでも今年受けられたらなぁと思っています。

知らなかったあの日の話

12月になるとやっぱりどうも不安になったりする日があります。


そういう話を主人としていたら
ふと語られたあの日の話。

それは私が知らなかった話でした。


手術の日、その時間になっても予約が満席で休むことができず
主人はいつもと変わりなくお店に立っていました。


そうしたらお店の常連でもあった眼科の先生が入ってきて、
「ただ今満席でして…」と伝えようとしたスタッフを優しく静止し
主人のところに行って静かに伝えたそうです。


「今、手術室に入ったから」と。


普段感情を表に出さない人なのですが
その一言を聞いて、
たまらずバックヤードで1人泣いていたんだそうです。



息子の目を摘出しなければならないその瞬間にも
お店に立たなければならなかった主人の気持ち。

予約がたとえ満席でも、休めばよかったのかもしれません。
理由を説明して分かってくれない人はいなかったと思う。
子供の大切な手術になんで休まないの?そういう人もいるかもしれない。

でも、変わりなく働き続けることは
彼なりの息子へのエールと
全てを受け止めるための決意でもあったんだと思います。
同時に母親である私と、先生方とを信じていたのだとも。

そんな主人の気持ちを分かって
その一言、ただそれだけを伝えにきてくれた先生のやさしさに
言葉が詰まりました。



私は分かったつもりで
分かっていなかったかもしれない。




これはそのままそっと仕舞って
書かなくていいことかもしれないとも思ったけれど

いつか坊がこのことを読む日がくるかもと

記録です。

【質問】眼球摘出から目が開かない / 二次がん、遺伝子検査、再発は?

フォームから質問、悩みをいただきましたので掲載します。

「うちはこうだよ」などの経験談、
「こういう事を聞いたことがある」などありましたらコメントやメール、是非ください。情報が少ない・あまり出会う事がない病気だから、経験を出し合って少しずつ解決できたらと思っています。

治療経歴

2歳3ヶ月で右目に網膜芽細胞腫が見つかり6回の抗がん剤治療とレーザー治療。


国立がんセンターセカンドオピニオンの結果、命を取るか危険を承知で放射線をするかで眼球摘出。現在は3ヶ月に一度眼科で視力検査、眼底写真、診察と小児科で血液検査、6ヶ月に一度、頭部MRI検査中。

【今の悩み】眼球摘出から1年4ヶ月経つのですが、目が開いてこないこと。

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義眼をしたままの状態でも半分ぐらいしかまだ開かない状態で、視神経の奥の方まで摘出したせいで開いてこないのではと言われており、義眼の先生にも開いてくるまでは小さいものと少し凹凸のついたもので開くのを待つしかないと言われており、今も毎日動かす練習をしています。

義眼台は装着なしです。

瞬きは連動していて閉じることはできるけれど開けるとなると半分までしか開かず、初めて見た人からはめばちこ?と言われることが多いです。

こんなに開くのに時間がかかるものなのでしょうか。

あまり大きいものや凹凸をつけすぎると目の位置が下がったり、上まぶたの皮が伸びてしまうから今の義眼で様子を見て下さいとのことなのですが…。




息子のお話
うちはむしろ逆で義眼が大きすぎた時なんかは開きすぎってこともあったくらいです。
多分義眼台が入っているせいで、その分後ろから押し出しているのが影響してるのかな?と思いますが…

逆の悩みではありましたが、義眼師さんには最初はあまり見た目を追い求めすぎないように。とは言われました。
目の組織に負担がかかると将来的に戻すことの方が大変ということもあって、焦らず、ということだったのだと思います。

☆同じような状態の方、そんなことがあったという方がいらっしゃいましたら是非教えてください


【将来的な悩み】二次がん、遺伝子検査、再発しないかどうかの不安。

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息子のお話
これは三項目ともうちも悩みです…多分皆さんそうだと思います。
病気自体は落ち着く日が来るかもしれないけど心配なことは続いていくこと。この病気の難しいところの一つですよね。

<再発と二次がんのこと>
片眼の場合はまずもう片方に出ないかどうか。割と同時期に出るようなので、発見から1年が一番注意しなければいけないと聞きました。1年は実は両眼性の可能性が捨てきれないと。徐々に発症の確率は下がってくるそうです。

二次がんについてはもうめちゃくちゃ心配ですね。

ただもう心配してもしょうがないところもありますよね。予防法といってもないし…。

「子供に変化がないかどうか見る事。無関心にならないこと。」
病気とは関係ないお話しで言われたことだったんですがハッとしました。サインを見逃さないようにしないとなぁと。

あと食事には以前より気を付けるようになりました。普段の食事はルート、作り手が分かるお野菜やお肉、魚を使うようにする。作れるものは自分で作ってみる。添加物はできるだけ避ける、くらいですが、何が影響するか分からない中、出来る事はまずは体を大切にすることかなと。
過剰にはならず出来る範囲で続けようと思っています。


<遺伝子検査のこと>
遺伝子検査については、今、主治医に聞いたり、調べたり、経験者の方に聞いたりもしているのでまとまったらこちらにも書こうと思っています。

聞くにつれて、ただ検査をすれば良いというものではないんだなぁと。遺伝性のがんって倫理よりむしろ日常のこと、心情的な側面の方が難しいということが分かってきました。まずは近々遺伝カウンセリングを受けてみようと計画中です。


☆他の方の想いや、考えなども聞きたいので、是非コメント、メールください。
お願いします。

出会い

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先日このブログをきっかけにやりとりをするようになって

「坊ちゃんに会いたい」

と私達のところへ遠くから会いにきてくれた方がいました。
1歳の娘さんとご家族です。


娘さんはちょうど息子と同じくらいの時期、年齢に病気が分かって。
お父さんがメールをしてきてくれたのがはじまり。

いつか会えたらいいなぁと思っていたけれど
お互い距離のある住まい。だからこんなに早く実現するなんて!
(本当に本当にはるばるありがとう!)

会ったのは初めてで、会うまではドキドキだったけれど、そんな緊張はすぐに忘れてしまいました。
少しの間だったけど皆でお出かけして、時間がある限り話して。楽しかったなぁ~


娘さんは摘出してもうすぐ一年。
義眼もとっても綺麗に入っていて、とってもかわいこちゃん。
はじめ私も「あれ?どっちだろう?」と思ったくらい自然。
通い詰めて制作を頑張ったそう!さすがの仕上がり!


そして二人が並んで遊んでいるのを見ると、
坊は随分大きくなったなぁって。

だって初めて義眼をしたのは、同じ1歳くらいの時。
もう3歳、来年には4歳だもんねぇ


多分
病気がなければ出会うことのなかった二人。
病気がなかったら出会うことのなかった家族。
不思議な縁です。


もちろん、こんな病気にならなかった方が良かったと思います。
目を失うなんて無い方がいい。
義眼だって使うことにならなかった方が良かったと思います。

でも
懸命に前を向いていたら
いつか必ず何処かに繋がっているんだなーと。


あの日から閉じた扉もありました。
でも、それ以上に開く扉も沢山ありました。


心からこの出会いは嬉しかったし
またひとつ子供たちの世界も広がったような気がしています。



同じ日に、先日病院でお話ししたお母さんから良い報告もあって。
なんだかとても嬉しい一日でした。


今度は私達が会いにいくね。

網膜芽細胞腫と診断されたら

診断されてからどうなるんだろう...

腫瘍の位置や大きさ、両眼なのか片眼なのか状況は様々なので違ってはきますがとにかくあまり考える時間はありません。

私達も診断から翌日に検査。その二日後には摘出でした。


時間がない中で、とても不安です。

何か良く分からないまま診察、治療に入っていきます。
分からないまま新しい疑問が出てきます。

自分の記録のためでもありますが、あの日あの時に調べるのがとにかく大変だったから。

治療前の時間がない中で読めて、右往左往少なく次に調べたいことにつなげられるものがあれば…

そんな風に少しでも役に立てばとずっとまとめたいなと思っていたことです。
忘れてしまわないうちに大まかですが流れを記録+調べたこと、聞いたことなども合わせて書いておこうと思います。


※経験をしたことや、お話しを聞いたこと、調べたことに基づいて書いています。間違いなどありましたらご指摘ください。
※病院によって違うところもあると思います。

確定診断には

眼底検査を行った後CTを撮影します。
網膜芽細胞腫の特徴である<石灰化>という状態が写るとほぼ間違いなくこの病気と診断されます。

石灰化が見られず即判断ができない場合、稀な症例(就学後の子供が多い?)の場合は追加の検査をしたり国立がんセンターへ意見を求めたりとなるようです。
この病気の最終オピニオンは国立がん研究センターで一択です。


※この確定診断の為にはCTを撮影しますが、その後の経過観察はMRIなどでの確認になります。
CTはごくごく少なく人体に影響がないと言われる量ではありますがX線なので被ばくします。PET検査もそうです。遺伝性の場合特に2次がんが発生する可能性があるので、この病気はCTをなるべく避ける傾向があります(でも最初の確定診断、石灰化の確認にはどうしても必要なのですよね。)

MRIX線を使わない磁気共鳴画像という方法での撮影でCTとは原理が違いますので、そういった心配はありません。なので経過観察に使います。


※確定診断された場合は速やかに小児慢性特定疾患治療研究事業への申請を行います。検査などで大変ですがなるべく早く申請を行います。
小児慢性特定疾患治療研究事業は小児がんなど特定の疾患(難病)は治療が長く続いて治療費が高額になるので自己負担分を補助するものです。治療法の確立も目的としています。
医療費 - 網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会「すくすく」
小児慢性特定疾病情報センター - 小児慢性特定疾病の医療費助成について




確定診断後の検査

更に検査を重ねます。血液検査、骨シンチグラフィー、骨髄穿刺、エコーなど。多岐にわたります。
大人でも受けないような量の検査になります。

主に転移の有無を調べる為です。


検査後の方針決定

大きく3つを総合して方針が決定されると思います。

検査後の時点での選択肢は大きく2択しかありません。
<眼球摘出>か<眼球温存治療>か

温存の可能性がある場合は何パーセントか、ということが伝えられます。
その場合は親がどちらを選択するかを決めなければなりません。


転移はあるのか

一番大きなポイントです。
脳転移、他部転移があるかどうか

この時点で転移が確認された場合は目のことにプラスして転移に対する治療が検討されます。


両眼なのか、片眼なのか

今の段階で片眼だけに腫瘍が発生しているのか、両眼に発生しているのか。

  • 片眼の場合…腫瘍の状態により<眼球摘出>か<眼球温存>を検討
  • 両眼の場合…両眼の<眼球温存>をするか、腫瘍が大きい方を<眼球摘出>し、小さい方を<眼球温存>するか。

両眼の腫瘍が大きくなりすぎている場合は両眼摘出の可能性もあります。



腫瘍はどういう状態なのか

国際分類というものがあり、他の癌の「ステージ」に近いです。
私達はこれを結局聞かなかったのですが、CTの結果でみるとBでありEの状態だったのかな?
腫瘍は3mm以上で視神経近傍。網膜全剥離で視力なしと思われる。という状態でした。

ステージ違うのは、目の外に進行しているのかどうか、本当のところは摘出をしなければ分からないということ(生検ができないため)だと思います。
視神経に限りなく近ければ転移の可能性が大きくなりますし、黄斑部(網膜の中心部 光を感じる)にあれば視力に影響があり、難しい位置でもあります。播種の場合はその状態でも変わってきます。検査の総合判断で腫瘍の状態をみるしかないのです。


A 3mm以下の網膜腫瘍
網膜に限局し、かつ中心小窩(※)から3mm以上、視神経円板(※)から1.5mm以上離れている、小さな腫瘍(直径3mm未満)
(※網膜の黄斑部の中心に位置する、高精細な中心視野での視覚に寄与する重要な領域を中心窩と言い、その中心部が中心小窩です。視神経円板は視神経乳頭とも呼ばれ、視神経が網膜に入る点のことです。)
B 3mm以上、黄班部、視神経近傍の網膜腫瘍
網膜内のどこかに限局する3mm以上の腫瘍
C 限局性播種(硝子体・網膜下)
局所的な硝子体播種または網膜下播種またはその両方が存在する(腫瘍からの位置が6mm未満)硝子体や網膜下の領域に腫瘍の集まりや塊がない
D びまん性**播種(硝子体・網膜下)
(腫瘍からの位置が6mm未満)腫瘍から6mm以上の位置で網膜下液を認める
E 摘出を要する進行例
下記のような視力喪失の存在あるいは潜在的な可能性が1つ以上ある状態。

  • 前方にある腫瘍
  • 毛様体の中または毛様体上の腫瘍
  • 血管新生緑内障
  • 腫瘍を覆い隠すような硝子体出血または著しい前房出血
  • 眼球癆(※)、または眼球癆になりかかった状態(※注:眼球癆とは、重篤な疾患、炎症、損傷により、眼が萎縮して機能を失った状態のことです。)
  • 眼窩蜂巣炎などの存在
*播種:発生部位から腫瘍がこぼれ落ちて、散らばった状態

**びまん性:腫瘍が広範囲に広がっている状態

参考:網膜芽細胞腫 基礎知識:[国立がん研究センター 小児がん情報サービス] / 小児がん患者とご家族のために CureSearch » 網膜芽細胞腫の診断



生検はできないの?

通常、がんの疑いがある場合は患部の一部を取って,顕微鏡などで調べる検査「生検」を行うそうですが、目はできません。
目に生検を行うと、散らばって転移を招いてしまう可能性が高いからです。

なので、摘出して病理検査をする以外では、眼底検査やMRIで確認をしていくしかありません。

がんが今どうなっているのか。というのが本当のところ分からないというのが難しいところなのです。




眼球摘出

検査の結果、眼球摘出となった場合は手術です。
すぐに日程が調整され、手術が組まれます。
眼球摘出の手術は多くの病院で可能だそうですが、義眼台のようなものを入れる場合はできる病院は限られます。

手術時間は大体2時間程度。早ければ退院は2日ほどで。
大体1ヶ月~2ヶ月後くらいで義眼を装着することができます。

摘出した眼球を病理検査(細胞レベルの詳細な検査 結果は1~2週間後)にかけ、眼球外に浸潤がなければ通院による経過観察へ。


病理検査で浸潤が認められたら…
浸潤(目の膜を細胞レベルで超えているかどうか、視神経に食い込んでいるか)がほんの少しでもあれば、転移を防ぐため抗がん剤を使った予防的化学療法が検討されます。つまり体への転移は現在は確認されないけれど、可能性が否定できないから予防の為に抗がん剤で可能性を叩いておく、ということです。
(浸潤がある場合は20~40%の割合で眼球外に再発・転移と言われているとか。 家族の会すくすくより)

判断の難しい微妙な浸潤の場合は複数オピニオンで検討されます。

予防的化学療法は比較的軽めの抗がん剤のようですが、副作用がない訳ではなく、入院もしながらの半年くらいの治療となります。

眼球摘出後は

摘出後は、数か月ごとの検診で、片眼の場合は残った目の方にも腫瘍が出てこないかをチェック、再発・転移がないかどうかもみていきます。
これを経過観察といいます。経過観察のスパンや項目は病院によって異なります。

術後1年は特に再発転移の可能性もまだ高いままで、片眼の場合は実は両眼性だったという可能性もあり、残った方の目も変化がないかチェックしていきます。診察に加えやMRI、血液検査などもあり、総合的に注視していきます。

術後5年が「寛解」と言われ、ひとまずがんの脅威が過ぎ去って一段落の時期と言われています。

リスク

  • 一生義眼となります。視神経も切ってしまうので少なくとも今の技術では元に戻すことができません。
  • 病理検査により予防的化学療法が必要になった場合は抗がん剤による弊害の可能性、将来的な二次がん(大きくなってから別の癌を誘発する)可能性が出てきます。

良いところ

  • 治療なしで摘出となった場合は目の周りの組織へのダメージは少なく、義眼は綺麗に入ります。
  • 癌を早く取り除くことができ、また病理検査により腫瘍の進行具合が明確になります。


義眼費用に関しては「家族の会すくすく」さんにまとめられています。
義眼費用 - 網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会「すくすく」

義眼屋さんは病院から紹介してもらえます。
義眼屋さん一覧





眼球温存治療

腫瘍の状況によって治療法は変わってきます。
腫瘍の大きさがある程度ある場合は抗がん剤で小さくしてから局所治療というピンポイントの治療に入ります。
抗がん剤は入院もしながら。局所治療は通いながら、経過を確認しながら、再発を繰り返すことも少なくないので長期間に渡る治療は覚悟しなければなりません。また温存治療が可能な病院はかなり限られています。

局所治療例

地方の病院で治療できることもありますが、国立がん研究センターでしかできない治療法もいくつかありますので、主治医と相談していくことになります。
詳しくは以下のサイトで。

家族の会すくすくは国立がん研究センターを拠点に活動していますので、温存治療に関しては一番詳しく分かると思います。月に一回「お話会」を開催していて悩みを相談できる時間を作ってくれています。

網膜芽細胞腫 治療:[国立がん研究センター 小児がん情報サービス]
治療方法 - 網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会「すくすく」


入院のことについてなど
入院の工夫編|ちいのブログ
検査入院 準備|ちいのブログ




リスク

  • 眼内は生検(癌細胞を取って確認)ができません。MRIや眼底検査で予想するしかなく本当の進行具合は分からないまま癌が体にある状態が長く続くことになります。
  • 治療の過程で温存中の目のダメージが大きくなる可能性もあります。
  • 抗がん剤による副作用、二次がん(大きくなってから別の癌を誘発する)可能性があります。
  • 小児慢性特定疾病にあたるため医療費助成があり治療費の心配はそこまでありませんが、地方在住の場合滞在費が多くかかる場合があります。また両親共仕事をされている場合は調整も考えなければなりません。

治療中の補助に関しては「家族の会すくすく」さんにまとめられています。
医療費 - 網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会「すくすく」

治療中のお金の話-経験談より
お金のはなし。|ちいのブログ



良いところ

  • 眼球の温存ができれば、文字通り目を残してあげることができます。
  • 再生分野もかなり発展しているので、残った目の視野や視力に問題が残ったとしても将来的に治療できる可能性に繋げることができます。

その他

がんに関する様々な本や情報から、こんな小さな子に摘出、抗がん剤、他の方法はないのか…と思ったり、周りから言われたりすることがあるかもしれません。他のがんに関しては分かりませんが、この網膜芽細胞腫に関しては自然な療法などを主軸に持ってくるというのは適さないと思います。

生活習慣が悪いとか、がん家系だから気を付けなければ…そういうレベルではなく生まれる前から該当遺伝子にエラーがあるために起こると解明されている、とても稀なタイプで大人のがんとは性質が異なる…そういったことは考慮に入れるべきです。

治療を拒んだり、先延ばしにしてしまって命を落としたお話しも聞いています。

子どもの成長の様子、検査の結果、主治医のお話しなどを総合して最終的には親が決断するしかありませんが、どうか手遅れにならないよう。




ちいのブログさんの記事のリンクをいくつかさせていただいています。
発覚当初、ほんの少ししかなかった経験談。その一つがこのブログでした。
ここを作ったきっかけでもあります。

私もとても参考にしていて、治療の様子や悩み、体験した人にしか分からないこと、そしてその時の気持ち…色々書かれています。
ちいちゃんは本当に沢山の経験をしてきているけれど、たくましく魅力的で、それに対するちいちゃんのお母さんのまっすぐで深い愛が詰まってるブログ。情報だけでなく私はいつも色々考えさせられ逆に力を貰ったりもしています。