うみをすすむ

0歳10ヶ月、網膜芽細胞腫(レティノブラストーマ)という目の小児がんで右目を摘出した息子との日々のこと。病気と向き合う記録。

義眼での運動や水泳

「あたらしい園」のことで色々なご意見をいただきました。
参考にさせてもらって自分なりに考えをまとめて
園に提出することができました。本当にありがとうございます!

きっと同じことで悩む方もいらっしゃると思うので
こちらにも記録しておきます

体操・運動

マット運動、前転などで外れることはなかった。
体操などは大丈夫そう。
縄跳びとかも大丈夫だった

プール遊び(水遊び)

年少の水遊び程度では特別何かをすることはなく普通に遊べる
取れたりは殆どない。

プールで泳ぐ時は

ゴーグルをしている人が多い
ゴーグルを取る時に圧で義眼が取れる場合があるので要注意。
事前に親子でゴーグルの着脱の練習をしておいた方がよさそう。

ゴーグルをしなくてもそんなに取れないようだけれど
飛び込みとかする時に水圧で痛い、といった事がある。

その他

年中、年長になってくると
「私のオメメ、取れるのよ」とお友達に秘密として打ち明けたりしちゃうことも。
自分の意思で取って外してしまう、という事の方が心配として多そう。





日常の運動で取れることはほとんど無くてその点は心配ないけれど
自分で取ってしまう可能性の方が大きいんだということ。
「人前でむやみに外すものではないんだよ」という家庭での話が大切ですね…

ゴーグルの圧とか水圧とかは頭にありませんでした。
事前の練習大切です!
経験談でしか分からないことですね。

段々とお話しも上手になってきて
こちらの話も分かるようになってきたので
義眼についても少しずつ教えて行きたいと思っています。

あたらしい園

息子が4月から姉妹保育園にあがることになりました。今までと違って習い事のようなことも力を入れている園で、かつクラスも多いマンモス園になります。


保育士さんと義眼について相談しなければならないことがあって、特に直近で必要なのが

◯体操教室
マット運動などで義眼がはずれたり、取れたりしないか

万が一取れた時、どういう対応をしたか、しようと考えているか
(義眼であることは保育園のスタッフは全員知っていますが子供、保護者は現状、殆どの人が知らないです。また3歳になったばかりですので自分で状況を説明したり、自分で目を直したりというのはもうしばらくかかりそうです。)
です。

これから水泳教室などもあります。

◯発表会、運動会など大人数が見る中で取れたり回ったりしたらどういう対応をするのか

流れに任せるのがいいとは思うのですが急に大人数な園になるため今までのようにはいかなくなるかもしれませんし(今までは少人数園でした)、保育士さんと親との基本的対応はすり合わせて決めておく必要があります。


幼稚園、保育園に行っている方、
また似たような経験がある方がいましたら
私ならこうするかなということでも構いません。

色々ご意見や経験談など聞かせていただけたら嬉しいです。

よろしくお願いいたします。




網膜芽細胞腫のニュース

現状ほとんど知られていない病気、「網膜芽細胞腫」ですが、ネットのニュースまとめメディアに取り上げられたようです。
以前見かけた海外の啓発動画、ポスターのモデルになった子のお話のようです。
主な症状、「白色瞳孔」の確認は「フラッシュを使って写真を撮る」のが重要です。

これをきっかけに多くの人、特に子供が身近にいる方が知ってくれたりしたら救われる子供がいると思います。この記事が早期発見につながりますように!

gunosy.com

ニュースの子が出ている動画は英語ですがとてもよく分かるので是非見て欲しいです。
youtu.be


出生直後〜3歳くらいまでが多い子供の希少がん、目の癌です。小さな子供が発症します。(少なくなりますが5〜6歳くらいでもあります。)大人はほぼありません。また先天的な遺伝子の異常から発症する癌なので予防法はありません。
片目だけ発症の場合と両目とも発症の場合があります。

早期発見して少しでも早く治療に入ることが大切です。そうかもしれないと思ったら小児科ではなく、すぐに「眼科」へ。
この病気を診断するには主に

・眼底検査(目薬で瞳孔を開いて目の奥を見る)
・CT(病気の特徴である石灰化を確認する)

が必要です。CTは大きな病院でなくては難しいですが「眼底検査」は街の眼科でできます。
ただ見逃される事も多いので「網膜芽細胞腫」ではないですか?とか「眼底検査をしてください」と一言添えると良いです。


発症人数が少なく確実な治療法が確立しているとは言えない難しい病気です。発見が遅れてしまった場合死に至る場合もあります。でも少しずつ医療が進んできて早期発見して治療に入ることができれば命が助かる確率はかなり高くなってきています。



詳しくはまとめたページを見て頂ければ幸いです。

marmom.hatenablog.com

網膜芽細胞腫とは - うみをすすむ

marmom.hatenablog.com


▼「白色瞳孔」についてはこちらのページが分かりやすいです。
ameblo.jp

知りたいことアンケート

アンケートを作ってみました。
ブログを続けていることでメールをいただいたりするのですが
中には成長して大人になった方が、「こうだったよ」と教えてくださることもあって。
何かの形で共有できないかなぁとずっと考えていました。

みんなどんなことが悩みかな、とか
初めて病気のことが分かった時に聞くところがないなとか
悩んだ時どうすればいいんだろうとか考えていました。


何が悩みか、何が知りたいか。
匿名で書いてもらうことで、ここでまとめて、
それを見た誰かがアドバイスしてくれたり、そういうゆるやかな流れができたらと。

テスト的でどうなるか分かりませんが、
メールはちょっと苦手。という方も気軽に書いていただけたらと思います。




マネーショート

今公開中の映画「マネーショート」
アカデミー賞脚色賞も受賞しています。

この映画のことは同じ病気で義眼をしているお子さんのお母さんが教えてくれたのですが

登場する主人公の一人、クリスチャン・ベールが演じるマイケル・バーリは実在の人物で、義眼なのです。
義眼の理由は2歳の時に目の癌で左目を失って…とあるので網膜芽細胞腫だと思われます。幼少期の目の癌ってこれがほとんどだから、たぶんそうかな。

他に有名人でというと俳優で刑事コロンボを演じたピーター・フォークも3歳の時に網膜芽細胞腫が分かって義眼。こちらは演じる方ですが。


マイケル・バーリは元々医師で、予想が当たりすぎるからファンドを立ち上げて隻眼の天才トレーダー、隻眼の相場師と呼ばれている。なんてこった!医師からトレーダーって多彩すぎるよ!
こんな人がいるんだとびっくりです。




そしてパンフレットの裏面にはなんと義眼の写真が!
取り出した義眼の写真が載っているなんて珍しい…
そして海外でも形は変わらないのね~とそんなところが気になったり。



映画はリーマンショックサブプライムローン危機をめぐる金融の話です。
専門用語が多いのでちょっと予習していった方がよさそうな感じですが
義眼を知るきっかけにもなればいいなと思いますし、実在の人物ってことで病気のこと、義眼であること飛び越えて才能を発揮している人がいるってことが単純にうれしかったです!


クリスチャン・ベールの演技は本当に義眼なんじゃないかって思うほどだそうですよ。


子供が小さいのでなかなか映画自体しばらく行けてないんですが機会をうかがって私も見てこようと思います。

こんな理由で行くのもありかな?


「マネーショート」
http://www.moneyshort.jp/


見る前に
映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を華麗に楽しむための基礎知識
http://blogos.com/article/164353/

町山智浩『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を語る
http://miyearnzzlabo.com/archives/35917

外来 2016.2月 2回目(記録)

先日の血液検査の結果を聞きにいきました。
本当は3月だったけど息子の誕生日の翌日で。そんな日に行くのは嫌だなぁと一週早めてもらいました。

結果は
nse下がってたー!!
しかも15。
病院の基準値以下ってはじめてです...
心配なさそうで本当にホッとしました。
これで安心して3歳を迎えられます。

小児科採血だといつも値が低い。
採血担当者の技量にすごく左右されてます。



しかし続き。
「扁桃腺が大きく腫れてるね」と。
少し前姪っ子がアデノウイルスに感染していてまだ病名が分からない時に接触してしまってたんですよね。潜伏期間を考えるとぴったり...まさか...と先生に伝えると

「あーアデノウイルスは義眼の子がかかったらやっかいな病気なのよ」

と先生。
アデノウイルスは結膜に来るので異物が入ってることになる義眼の子は悪化しやすく目ヤニが多く出て通常の倍くらい長引くんだそうです...(目ヤニから感染するから出たら登園できないそう)

ええ〜...かかったら二週間近くってこと!?

「症状が出たら抗菌用(クラビットとか)の目薬をしてね。じゃないと長引くよー」

はい、どうかかかってませんように...

片眼は視覚障害者?

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病気などで片目に、事故などで片目になっても
殆どが視覚障害者に当たらない、ということをご存知でしょうか。

ほとんどの人は手帳は発行されず、制度的には両目ある人と同じ扱いということ。
そして補助などはありません。


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摘出を行った時、医師の説明の中に「視覚障害者にはならない」と言われ
びっくりしました。目、失くなったのに?摘出だよ? という想いと同時に
どこかホッともしました。

保育園は受け入れてくれるのか、学校はどうなるのか。
ぐるぐる考えていた中に息子は障害者となるのか、ということもありましたから。

息子が片目を失うまで実態を全く知りませんでした。

片目の視野

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耳側に約90~100度、
鼻側に約60度、上下方向では、
上側に約60度、下側に約70度 完全に半分という訳ではなく。
※両目の総合視野は左右約180度~200度

身体障害者手帳の障害程度等級(視覚障害)

これを踏まえた上で等級を見てみると、ポイントは「両眼でどのくらいか」っていうこと。
目が片方あるなし、は何と関係ないのです!

等級 説明
1級 両眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、矯正視力について測ったものをいう。以下同じ)の和が0.01以下のもの
2級 1.両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの

2.両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上のもの
3級 1.両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの

2.両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が90%以上のもの
4級 1.両眼の視力の和が0.09以上0.12以下のもの

2.両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
5級 1.両眼の視力の和が0.13以上0. 2以下のもの

2.両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
6級 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、両眼の視力の和が0.2を超えるもの


国民年金(障害基礎年金)
厚生年金保険(障害厚生年金・障害手当金)
障害等級認定基準(眼の視覚障害

1級 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2級 1.両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの

2.身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 厚生年金保険のみ

両眼の視力が0.1以下に減じたもの

障害手当金:厚生年金保険のみ

(1)両眼の視力が0.6以下に減じたもの

(2)一眼の視力が0.1以下に減じたもの

(3)両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

(4)両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの

(5)両眼の調節機能及び輻輳(ふくそう)機能に著しい障害を残すもの

片眼は制度の間にいる

術後保育園に通っていますが、今の所生活に支障は全くありません。物にぶつかることはありませんし、すれすれの障害物も難なく回避します。義眼の目の方で多少気づくのが遅い、階段を上ったり降りたりがちょっと苦手なところはあります。(ただこれは息子がとても用心深いという性格もあるのでよくわからないです)

立体視ができないため物を取り損ねたりがある、というのを聞いていますが、今の所それはありません。

0歳の時からおそらく見えておらず、片目の視界が日常なので脳の処理が異なって発達している可能性はあります。
(医師にも生まれてからだから、上手く対処できるようになると思うよ、と言われました)

苦手の範疇はあるけれど、片目だから出来ないことは見ているかぎりではありません。



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一番の問題は私が医師から聞くまで知らなかったように多くの人は「片目である」=「障害者(手帳をもらえる)」と思っていること。
制度と一般の認識に隔たりがある。正しい理解が殆ど得られていない。これが差別を生み出す源になります。

認定はないので補助もありません。病気に関しては子ども医療費や小児慢性などでサポートがありますが大人になってからはなく、保険にはいりづらかったり、義眼代も補助として国の定める料金は半分以下。
なることのできない職業などもあります(また後日まとめようと思います)。
視覚障害者ではない、そう定めておいて、日々の生活で色々考えることが多いのはなんだかおかしい。

こういったはざまの人たちは結構いると思うのです。




片目の人を視覚障害者と認めるよう(手帳の対象とする)という運動されている方もいらっしゃいます。

が、「子供の頃から病気などで目・視力を失った場合」と、「大人になってから事故や病気で目・視力を失った場合」とでは抱えている問題も少し異なるようにも感じています。

もしこのことについて興味を持たれた方、知った方は取り上げるだけでなく、
一括りにしないで取り巻く環境を少し掘り下げて考えてみて欲しいと思います。




「はざまの問題・認識の隔たり」
を解消しなくては根本的な解決はしません。



まずはこちらを読んだ方が、少しでも現状を理解し、周りの方に伝えてくれることを願います。